師走のbeau garçon映画祭②


「Je ne suis pas un salaud 」
妻子と別れ、荒んだ生活を送っていたエディは、不良グループに絡まれ暴行を受ける。エディの証言で容疑者の男が逮捕されるが、彼はまったく事件には関わりがなかった…
最近、世界各国で多発している銃乱射や暴走車突っ込み事件。被害者にとっては悪夢としか言いようがない、理不尽で理解不可能な惨劇に、もうどこにも安全な場所などないと絶望的になってしまいます。理解とか同情など拒んでいるかのような加害者の心理には、ただもう戦慄するだけです。加害者たちの立場や身分が特異なものではなく、ごくフツーの一般人、事件前までは善良な市民として私たちの隣で生きていた、という事実にもゾっとさせられます。どんな事情や問題があったにせよ、彼らの犯行を許すことなど到底できませんが、なぜこんなことを?いったい何が彼らを蛮行へと駆り立てたのか?と、その昏い心の深淵をのぞいてみたくはなります。この映画の主人公エディも、そんな闇を抱えた人物でした。

エディもこれといって特別な人間ではなく、いるよね~こんなドキュン男、程度。ドキュンだけど根は善人で、まっとうに生きたいとは思っている。家族も大事にしたい。けど、気づかないうちに心の病や荒びが深刻になっていて、他人や社会とうまく折り合えなくなってしまってる。自分の思い通りにならないと暗い怒りをためこんで、抑えきれなくなるとプッツン大暴れするエディって、自分勝手とか短気とかではなく、精神的に障害があるように思えました。たいていの人ならできる努力や我慢ができないエディには、イラっとさせれつつ、本人的にはどうしようもないんだろうな~と、気の毒にもなってしまいました。しかるべき治療とかカウンセリングを受けるべきでした。

そして、冤罪という災厄も怖すぎる。いきなり犯罪者にされてしまう恐怖。濡れ衣を着せられた側ではなく、着せたほうが主役というのが珍しかったけど、冤罪の怖さを訴える内容ではなく、あくまでエディの人生崩壊のきっかけに過ぎない扱いになってました。それにしても…エディ、ほんとに罪深い男でしたわ。冤罪だけでなく、妻子までも不幸のどん底に陥れて。あんなに良い奥さん、良い息子なのに、可哀想すぎ。エディがこれまた妻子をすごく愛していて、彼らを幸せにしよう、守ろうとしているのに、心の闇のせいで自ら幸せをブチ壊してしまう姿が、愚かで哀れでした。衝撃的で悲痛すぎるラストには、暗澹とした苦い後味が。
エディ役のニコラ・デュヴォシェルの熱演とイケメンぶりに瞠目!

久々に見たニコラ。「White Material」以来かな?可愛かった彼もアラフォーに。でも、今でもカッコカワいい!童顔なので、実年齢より若く見えます。やつれて荒んだ不健康そうな顔でも、美しさは隠せません。うらぶれてショボくれている中、不意打ちのように見せる美しさに何度もハっとなった。フランス人にしては薄口な美しさ。ちょっとイギリス美青年っぽい?きれいで可愛いけどドキュン、これがニコラの個性と魅力でしょうか。全身刺青だらけ、暗く淀んだ雰囲気と目つき、触るものみな傷つける刺々しさ、荒ぶる魂。まさにドキュンの鏡です。世界一美しいドキュンかも。激情的なプッツン演技のヤバさも強烈でしたが、あまりにもみじめで哀れな風情に胸キュンさせる、ヒリヒリした繊細な演技も素晴らしかった。しばらく見ぬ間に、役者としてすごく成長してたニコラ。ただの美男俳優では終わりたくないという、彼の気概に感服です。彼はこの作品でセザール賞の主演男優賞にノミネートされました。受賞は「たかが世界の終わり」のギャスパー・ウリエルでしたが、ギャス男よりもニコラのほうが受賞に相応しかったのでは。

日本のイケメン俳優も、エディみたいな役に挑戦すればいいのに、とは思うけど、演技力と魅力がないと、ただの凶悪なドキュンになってしまう危険性もある難しい役です。ニコラは演技力以上に、おんな心に訴えるダメ男の危険な魅力があるんですよね~。一緒にいたらダメになる、傷つくだけと判っていても、離れられない見捨てられない男って、実際いますもんね。美しい男って、幸福より不幸のほうが似合う。ニコラもまた、そんな美男です。それにしても…誘蛾灯と蛾、ゴキブリホイホイとゴキブリみたいな男と女の関係、愚かしいけど憧れます。
妻役のメラニー・ティアリーは、「La princesse de Montpensier」のモテ姫役とは打って変わって、生活に追われるママ役を好演。「ホロウ・クラウン」のヘンリー5世編にも出ていた彼女、美人ではないけど人情深さと肝っ玉がありそうな風貌、演技に好感。息子役の男の子も可愛くてけなげだった。



↑美しきDQN俳優、ニコラ・デュヴォシェル。リュディヴィーヌ・サニエとの間のお子さん、もう大きく、さぞやきれいに成長してることだろうな~。いい役者に成長したニコラの出演作は、日本未公開が多くて残念。ピエール・ニネ!と共演したコメディ、DVDスルーでいいので観たい!!



妻子と別れ、荒んだ生活を送っていたエディは、不良グループに絡まれ暴行を受ける。エディの証言で容疑者の男が逮捕されるが、彼はまったく事件には関わりがなかった…
最近、世界各国で多発している銃乱射や暴走車突っ込み事件。被害者にとっては悪夢としか言いようがない、理不尽で理解不可能な惨劇に、もうどこにも安全な場所などないと絶望的になってしまいます。理解とか同情など拒んでいるかのような加害者の心理には、ただもう戦慄するだけです。加害者たちの立場や身分が特異なものではなく、ごくフツーの一般人、事件前までは善良な市民として私たちの隣で生きていた、という事実にもゾっとさせられます。どんな事情や問題があったにせよ、彼らの犯行を許すことなど到底できませんが、なぜこんなことを?いったい何が彼らを蛮行へと駆り立てたのか?と、その昏い心の深淵をのぞいてみたくはなります。この映画の主人公エディも、そんな闇を抱えた人物でした。

エディもこれといって特別な人間ではなく、いるよね~こんなドキュン男、程度。ドキュンだけど根は善人で、まっとうに生きたいとは思っている。家族も大事にしたい。けど、気づかないうちに心の病や荒びが深刻になっていて、他人や社会とうまく折り合えなくなってしまってる。自分の思い通りにならないと暗い怒りをためこんで、抑えきれなくなるとプッツン大暴れするエディって、自分勝手とか短気とかではなく、精神的に障害があるように思えました。たいていの人ならできる努力や我慢ができないエディには、イラっとさせれつつ、本人的にはどうしようもないんだろうな~と、気の毒にもなってしまいました。しかるべき治療とかカウンセリングを受けるべきでした。

そして、冤罪という災厄も怖すぎる。いきなり犯罪者にされてしまう恐怖。濡れ衣を着せられた側ではなく、着せたほうが主役というのが珍しかったけど、冤罪の怖さを訴える内容ではなく、あくまでエディの人生崩壊のきっかけに過ぎない扱いになってました。それにしても…エディ、ほんとに罪深い男でしたわ。冤罪だけでなく、妻子までも不幸のどん底に陥れて。あんなに良い奥さん、良い息子なのに、可哀想すぎ。エディがこれまた妻子をすごく愛していて、彼らを幸せにしよう、守ろうとしているのに、心の闇のせいで自ら幸せをブチ壊してしまう姿が、愚かで哀れでした。衝撃的で悲痛すぎるラストには、暗澹とした苦い後味が。
エディ役のニコラ・デュヴォシェルの熱演とイケメンぶりに瞠目!

久々に見たニコラ。「White Material」以来かな?可愛かった彼もアラフォーに。でも、今でもカッコカワいい!童顔なので、実年齢より若く見えます。やつれて荒んだ不健康そうな顔でも、美しさは隠せません。うらぶれてショボくれている中、不意打ちのように見せる美しさに何度もハっとなった。フランス人にしては薄口な美しさ。ちょっとイギリス美青年っぽい?きれいで可愛いけどドキュン、これがニコラの個性と魅力でしょうか。全身刺青だらけ、暗く淀んだ雰囲気と目つき、触るものみな傷つける刺々しさ、荒ぶる魂。まさにドキュンの鏡です。世界一美しいドキュンかも。激情的なプッツン演技のヤバさも強烈でしたが、あまりにもみじめで哀れな風情に胸キュンさせる、ヒリヒリした繊細な演技も素晴らしかった。しばらく見ぬ間に、役者としてすごく成長してたニコラ。ただの美男俳優では終わりたくないという、彼の気概に感服です。彼はこの作品でセザール賞の主演男優賞にノミネートされました。受賞は「たかが世界の終わり」のギャスパー・ウリエルでしたが、ギャス男よりもニコラのほうが受賞に相応しかったのでは。

日本のイケメン俳優も、エディみたいな役に挑戦すればいいのに、とは思うけど、演技力と魅力がないと、ただの凶悪なドキュンになってしまう危険性もある難しい役です。ニコラは演技力以上に、おんな心に訴えるダメ男の危険な魅力があるんですよね~。一緒にいたらダメになる、傷つくだけと判っていても、離れられない見捨てられない男って、実際いますもんね。美しい男って、幸福より不幸のほうが似合う。ニコラもまた、そんな美男です。それにしても…誘蛾灯と蛾、ゴキブリホイホイとゴキブリみたいな男と女の関係、愚かしいけど憧れます。
妻役のメラニー・ティアリーは、「La princesse de Montpensier」のモテ姫役とは打って変わって、生活に追われるママ役を好演。「ホロウ・クラウン」のヘンリー5世編にも出ていた彼女、美人ではないけど人情深さと肝っ玉がありそうな風貌、演技に好感。息子役の男の子も可愛くてけなげだった。



↑美しきDQN俳優、ニコラ・デュヴォシェル。リュディヴィーヌ・サニエとの間のお子さん、もう大きく、さぞやきれいに成長してることだろうな~。いい役者に成長したニコラの出演作は、日本未公開が多くて残念。ピエール・ニネ!と共演したコメディ、DVDスルーでいいので観たい!!