今回は、靖国神社・遊就館の彗星艦上爆撃機を観察しましょう。この彗星艦上爆撃機(以下、彗星と略)を初めて見たのは、今から18年前のこと。当時、彗星が展示されている大展示室は撮影禁止だったため、内緒で携帯で一枚撮っただけ(^^)。今回は、あらためて詳細を撮影しました。
先ずは全体画像です。
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垂直尾翼に書かれた「鷹-13」は、第523海軍航空隊である通称「鷹部隊」の13号機です。第523海軍航空隊は1943年(昭和18年)11月に開隊されましたが、翌年の1944年(昭和19年)6月に所有機の全機を失い解隊となりました。
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この機体は彗星11型ですが、主なスペックは以下のとおりです。この彗星は零戦よりも速い艦上爆撃機ということで、海軍の期待は大きいものでした。
エンジン:液冷V12気筒・アツタ21型(1,200馬力)
最大速度:546.3 km/h(高度4,750 m)
上昇力:高度5,000 mまで9分28秒
航続距離:1,783 km(正規)~2,196 km(過荷)
武装:機首7.7mm固定機銃2挺、後方7.7mm旋回機銃1挺
爆装:250kgまたは500kg爆弾1発、翼下30~60kg爆弾2発
乗員:2名
続いて詳細です。先ずは機首の固定機銃用の照準器。戦闘機に用いられた光像式ではなく、望遠鏡のような眼鏡式です。
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操縦席後方の、7.7mm旋回機銃。迫ってくる敵機を攻撃するためですが、特に装甲板もなく怖かったと思います。
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続いて左右の機種部分。前述のとおりV12気筒ですから、左右それぞれ6本の排気管です。左側にはエンジンへの吸気口があります。
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各務原に保存されている三式戦闘機「飛燕」と異なり、液冷用ラジエターは別展示でなく機体に収まっています。
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プロペラ先端のスピンナには、大和ミュージアムの零戦同様に、回転方向の表示があるのが嬉しい限り。
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プロペラには、製造メーカーの銘板付。
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主脚部分や尾輪は、丁寧に復元されています。
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複座席が素晴らしいです。
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「ノルナ」「オスナ」の赤字注意書も再現されていますが、戦前ですから右始まりの「ナルノ」「ナスオ」では?です。
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翼端灯のレンズは、明らかに現在のもの。
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増加燃料タンクと翼下爆弾架ですが、戦争末期の増加燃料タンクは、金属節約のため木製だったと思います。
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機体銘板です。
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彗星に搭載されたアツタ21型エンジン。陸軍の三式戦戦闘機「飛燕」に搭載されたハ40(140)同様、ダイムラーベンツDB601のライセンス生産です。
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黄色四角部分は過給機です。通常、ギアで回転数を変速しますが、ベースになったDB601同様に流体継手を使った無段変速でした。クルマのATと同じです。
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1シリンダー・2プラグです。V型エンジンの片側6気筒に、12本のプラグが並んでいます。
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このアツタエンジンですが、陸軍のハ40(140)同様に故障が多く、彗星の稼働率は低いものでした。要因はいろいろあるのですが、前述の流体継手の整備が難しいことに加え、冷却水(蒸気)漏れ。さらにエンジンの主要部品であるクランクシャフトのニッケルやクロムの成分が不足し、折れたり焼き付くという故障が絶えなかったようです。
それでも、陸軍のハ40(140)より故障が少なかったとか。これは海軍が、貴重なニッケルやクロムを少ないながらもメーカーに供給したからだそうです。もっとも最後は、陸軍の三式戦戦闘機「飛燕」が空冷の五式戦闘機となったように、彗星も33型からは空冷エンジン搭載となりました。
最後に、この彗星は復元機です。ヤップ島で発見された残骸から復元されました。
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説明パネルで紹介されているとおり、復元の模様は日本TVで放送されました。私はダイレクトでTVで観ていましたが、薄い金属板をリベット打ちしながら復元されていたのが思い出されます。
ところで彗星は、海軍航空技術廠という「官」が設計しました。通常、軍用機は、陸海軍が要求性能を航空機メーカーに提示して設計開発するのですが、海軍自らが設計したものです。
このため性能追及が第一で、やたら新技術を取り入れ、生産性や整備性は後回し。こんなことも、彗星の稼働率を悪くした一因です。特に主脚の引き込みなどはモーターによる電気式を採用したのですが、戦前の日本の技術で特に遅れていたのが電気技術。その中でも絶縁を含む電設資材や真空管技術は、欧米と比べると大きく立ち遅れていました。このような中で電気式を採用したのは、無謀以外の何物でもありません。
このため配属された部隊からは、「繊細して兵器にあらず」と揶揄されたものです。このあたりは、多少性能が悪くても稼働率が高く、必要な時に役立った、同時期のアメリカ海軍「SB2C ヘルダイバー」とは大きく異なるところです。
最後の方は少々手厳しいことを述べましたが、とにもかくにも世界で唯一現存する液冷タイプの彗星です。一見の価値は大いにあります。
先ずは全体画像です。
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垂直尾翼に書かれた「鷹-13」は、第523海軍航空隊である通称「鷹部隊」の13号機です。第523海軍航空隊は1943年(昭和18年)11月に開隊されましたが、翌年の1944年(昭和19年)6月に所有機の全機を失い解隊となりました。
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この機体は彗星11型ですが、主なスペックは以下のとおりです。この彗星は零戦よりも速い艦上爆撃機ということで、海軍の期待は大きいものでした。
エンジン:液冷V12気筒・アツタ21型(1,200馬力)
最大速度:546.3 km/h(高度4,750 m)
上昇力:高度5,000 mまで9分28秒
航続距離:1,783 km(正規)~2,196 km(過荷)
武装:機首7.7mm固定機銃2挺、後方7.7mm旋回機銃1挺
爆装:250kgまたは500kg爆弾1発、翼下30~60kg爆弾2発
乗員:2名
続いて詳細です。先ずは機首の固定機銃用の照準器。戦闘機に用いられた光像式ではなく、望遠鏡のような眼鏡式です。
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操縦席後方の、7.7mm旋回機銃。迫ってくる敵機を攻撃するためですが、特に装甲板もなく怖かったと思います。
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続いて左右の機種部分。前述のとおりV12気筒ですから、左右それぞれ6本の排気管です。左側にはエンジンへの吸気口があります。
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各務原に保存されている三式戦闘機「飛燕」と異なり、液冷用ラジエターは別展示でなく機体に収まっています。
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プロペラ先端のスピンナには、大和ミュージアムの零戦同様に、回転方向の表示があるのが嬉しい限り。
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プロペラには、製造メーカーの銘板付。
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主脚部分や尾輪は、丁寧に復元されています。
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「ノルナ」「オスナ」の赤字注意書も再現されていますが、戦前ですから右始まりの「ナルノ」「ナスオ」では?です。
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翼端灯のレンズは、明らかに現在のもの。
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増加燃料タンクと翼下爆弾架ですが、戦争末期の増加燃料タンクは、金属節約のため木製だったと思います。
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黄色四角部分は過給機です。通常、ギアで回転数を変速しますが、ベースになったDB601同様に流体継手を使った無段変速でした。クルマのATと同じです。
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1シリンダー・2プラグです。V型エンジンの片側6気筒に、12本のプラグが並んでいます。
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このアツタエンジンですが、陸軍のハ40(140)同様に故障が多く、彗星の稼働率は低いものでした。要因はいろいろあるのですが、前述の流体継手の整備が難しいことに加え、冷却水(蒸気)漏れ。さらにエンジンの主要部品であるクランクシャフトのニッケルやクロムの成分が不足し、折れたり焼き付くという故障が絶えなかったようです。
それでも、陸軍のハ40(140)より故障が少なかったとか。これは海軍が、貴重なニッケルやクロムを少ないながらもメーカーに供給したからだそうです。もっとも最後は、陸軍の三式戦戦闘機「飛燕」が空冷の五式戦闘機となったように、彗星も33型からは空冷エンジン搭載となりました。
最後に、この彗星は復元機です。ヤップ島で発見された残骸から復元されました。
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説明パネルで紹介されているとおり、復元の模様は日本TVで放送されました。私はダイレクトでTVで観ていましたが、薄い金属板をリベット打ちしながら復元されていたのが思い出されます。
ところで彗星は、海軍航空技術廠という「官」が設計しました。通常、軍用機は、陸海軍が要求性能を航空機メーカーに提示して設計開発するのですが、海軍自らが設計したものです。
このため性能追及が第一で、やたら新技術を取り入れ、生産性や整備性は後回し。こんなことも、彗星の稼働率を悪くした一因です。特に主脚の引き込みなどはモーターによる電気式を採用したのですが、戦前の日本の技術で特に遅れていたのが電気技術。その中でも絶縁を含む電設資材や真空管技術は、欧米と比べると大きく立ち遅れていました。このような中で電気式を採用したのは、無謀以外の何物でもありません。
このため配属された部隊からは、「繊細して兵器にあらず」と揶揄されたものです。このあたりは、多少性能が悪くても稼働率が高く、必要な時に役立った、同時期のアメリカ海軍「SB2C ヘルダイバー」とは大きく異なるところです。
最後の方は少々手厳しいことを述べましたが、とにもかくにも世界で唯一現存する液冷タイプの彗星です。一見の価値は大いにあります。