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今年の芥川賞受賞作!

2006-03-08 16:34:55 | ノンジャンル
 今年の芥川賞受賞作である絲山秋子さんの「沖で待つ」を読みました。「勤労感謝の日」と「沖で待つ」という中編二つからなっている本です。
「勤労感謝の日」というのは、会社を辞めて現在無職で母と二人で住んでいる36歳の女性が、勤労感謝の日にお見合いをし、相手の男性のあまりの無神経さに途中退席し、そのまま渋谷へ前の会社の後輩と飲みに行き、そのあと家の側の飲み屋でマスターと話しているうちに気持ちもおさまってきて、終り、というもの。主人公の女性の気持ちがストレートに伝わって来て読んでいて気持ちがいいものでした。
 二つめの「沖で待つ」は、これも30代と思われる女性が主人公で、会社の内部の人間模様の中で、事故死してしまう同僚と生前にしていた約束を果たし、ある日ふらりと彼の部屋へ行ってみると彼の幽霊がいて、会話するというもので、その死んでしまう同僚の話が中心に書かれた、さり気ない小説でした。こちらは「です・ます」調で書かれていて、その辺も優しい雰囲気をかもし出しているのに貢献しているのかな、と思いました。(ちなみに「勤労感謝の日」の方は、ささくれだった主人公の気持ちを反映してか、呼び捨て調でした。)
 どちらも普通の小説で、芥川賞ってこんなものなんだ、って感じです。気軽に読めるので、まだ読んでない人にはオススメです。