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岩井志麻子『ぼっけえ、きょうてえ』

2010-10-13 10:34:00 | ノンジャンル
 今日、MLBアメリカンリーグ地区シリーズ、レイズ対レンジャーズ第5戦をライブで見ました。9月に体調を崩して自宅療養していたので、今年初めてMLBのポストシーズンの試合を本格的に見ていますが、結構見ごたえがあり、楽しんでいます。明日からは日本のプロ野球のパリーグ優勝決定戦が始まります。ロッテが西武戦2連勝(シーズンから数えると5連勝)の勢いで、そのまま日本シリーズ進出となるのか、10月は野球から目が離せません!

 さて、第6回日本ホラー小説大賞を受賞した岩井志麻子さんの'99年作品『ぼっけえ、きょうてえ』を読みました。
 語り手は若い女郎で、「オカイチョウ」が終わった後、客にせがまれて身の上話しを岡山弁でし始めます。話していくうちに、その女郎の両親は裕福な家の出ながら実の兄妹で、禁断の行為を犯したために故郷を追われ、岡山の山奥の村に辿り着き、母は中絶や赤子殺しを請け負って暮らしを立て、家の前の河原には殺さsれて捨てられた水子が後を絶たなかったこと、そうした家庭環境の元でいかに悲惨な人生をその女郎が歩んで来たかが明らかになります。そして、やがて女郎は、髪の毛で隠された額の左上に、一緒に生れた姉の顔だけを持ち、その邪悪な姉が欲しがった女将の指輪を盗み、今では常に姉が歯にその指輪をはさんでいること、頭が弱く同僚から虐められてばかりいた小桃という女郎をかわいがっていたことで、子桃はその指輪を盗んだ罪を代わりに背負ってくれ、それがばれないように子桃を殺したことが悪夢であるかのように語られていくのでした。
 前半の見せ場は、目をそむけたくなるような赤子殺しの情景が恐ろしく描かれていくところなのですが、やがて、悲惨この上ない自分の人生を、「ふふふ」と無気味に笑いながらこともなげに語っていく主人公自身の存在が怖くなっていき、最後には楳図かずおの作品を思わせる「姉」の存在が明らかにされ、その恐ろしさに魅せられました。岡山弁の一人語りで全編を構成しているというのも面白く、「おそろしく」も「おもしろい」作品に仕上がっていると思います。エロおばさんの岩井さんしか知らない方にはオススメの「恐怖小説」です。