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カレル・ゼマン監督『前世紀探検』

2010-10-19 18:26:00 | ノンジャンル
 今日は仕事で昼は留守をしていたので、MLBアリーグ優勝決定戦の第3戦は見られなかったのですが、パリーグのクライマックスシリーズ・ファイナルステージ第6戦はしっかり見させてもらいました。今シーズン初の中4日の杉内がやはり中盤で打ち込まれ、前回、中4日で好投した成瀬が今回も中4日で何と完封! シーズン3位のチームが史上初の日本シリーズ進出を決めました。ファイナルステージsで不振をきわめ、最後のソフトバンクの打球をジャンプして取ったチームリーダーの西岡が崩れ落ちて泣く姿が印象的でした。日本シリーズでのロッテ、注目です。

 さて、カレル・ゼマン監督の'55年作品『前世紀探検』をDVDで見ました。
 僕・ペリルは探検についての本をついに完成させます。探検のきっかけは僕の3人の仲間の中で一番年下のイルカが三葉虫の化石を見つけたことでした。僕らは博物館へ行って古代のことについて勉強しますが、恐竜たちが生きて動いている様子を見たいと思います。そして洞窟をボートで抜けていくと、僕らは氷河期に来ていることを知ります。氷に阻まれて進めなくなった僕らはボートを引きずって氷原を進み、生きたマンモスに出会います。霧に包まれるごとに時代が進み、恐竜が争う様子も見ることができ、死んだ恐竜を触って大きさを実際に測ることもできます。石炭紀では動物を探すためにイルカが沼地の奥へと迷いこみますが、ペリルらが落とした日記を拾って一躍英雄になります。そして最後のシルル紀。植物も生えない岩場を乗り越えると、彼らは初めての海に出ます。そしてそこで生きた三葉虫に出会い、旅は終わるのでした。
 人形アニメーションによる恐竜の動きはなめらかで、質感もなかなかのものでしたが、白眉は石炭紀のセットでしょう。沼地に広がる異形の虫や両生類、無数の倒木。夕日の美しさとともに記憶に残る見事さでした。前作の『鳥の島の財宝』と違って実写中心の映画でしたが、50年代のチェコのアニメーションのレベルの高さを知るには絶好の作品だと思います。オススメです。

チリ落盤事故救出劇のニュースに思うこと

2010-10-19 05:31:00 | ノンジャンル
 チリの落盤事故で地下700mに閉じ込められた33人の炭鉱夫の人たちが2ヶ月ぶりに無事救出されたニュースは全世界をかけめぐり、美談として世界中の人々を熱狂させましたが、チリの鉱山ということから、以前『サンチャゴに雨が降る』という映画を見たことを思い出しました。
 チリは南米で初めて、選挙によって社会主義政権が誕生した国で、大統領に就任したアジェンデは鉱山の劣悪な労働環境を改善させるため、チリの全ての鉱山の国有化を宣言しました。が、それまでそれらの鉱山の利権を実質的に所有していたアメリカ資本AT&T(アメリカにおけるNTTのような大企業で、アメリカの通信事業を独占し、安価な銅を手に入れることに血道を上げていました)がCIAと結託し、チリのピノチェット将軍を支援して軍事クーデターを起こさせ、最終的にアジェンデ政権のスタッフたちとその支援者を大統領府に追い詰めて皆殺しにしたという1973年の実際に起きた事件を描いた作品で、フランスとブルガリア資本により1975年に製作され、ジャン=ルイ・トランティニャンやアニー・ジラルドらフランスのリベラル派の俳優が出演している映画でした。当時の私は、この映画に刺激されて、アジェンデ政権の最後のルポルタージュである本を読んだりもしたことを思い出します。(本の題名は忘れてしまいましたが、もしかしたら、ホアン・E・ガルセス著『アジェンデと人民連合―チリの経験の再検討』だったかもしれません。)1973年から政権崩壊の1990年までの間、ピノチェット軍需政権は、労働運動のリーダーたちや左翼の知識人たちを容赦なく粛正し続け、強制収容所に送られたり、拷問されたりといった人権侵害を受けた人は10万人を超え、3千人を超える人たちが殺されたり未だに行方不明のままになっているそうです。今回の救出劇で鉱山労働者のリーダーとして世界中で賞賛を受けているルイス・ウルスラさんのお父さんも、そうした中で殺された一人ということでした。ということで、今回の事件はピノチェットの死後もまだ、鉱山労働者の労働環境が改善されていないということを改めて世界に知らしめたことになり、チリでは未だに毎年鉱山の落盤事故で30人を超える人が亡くなっているという事実を私たちにつきつける結果ともなりました。
 チリで産出される安価な銅の恩恵にあずかって生活している私たちも、チリで起こっていることを他人事として眺めていられないのかもしれません。チリの鉱山労働者の労働環境改善が今回の事件をきっかけにどのように進んでいくのか、その動向に注目したいと思います。