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スティーヴン・キング『ダーク・タワーV カーラの狼』

2006-11-15 16:40:02 | ノンジャンル
 スティーヴン・キングの「ダーク・タワーV(ファイヴ) カーラの狼」を文庫本で読み終わりました。上中下巻、合わせて1338ページ。読むだけでも大変な量ですが、これを書くスティーヴン・キングのエネルギーには頭が下がります。しかもこの「ダーク・タワー」シリーズは、第六部、第七部と続いてやっと完成し、六部、七部とも上下巻に分かれるというのですから、1部から7部まで考えると、とてつもない長大な小説ということになります。キングのライフワークの一つと言っていいでしょう。
 ところで、その1338ページの中でどういう物語りが展開するかというと、不思議に産まれる子供は皆双児という村を、25年ぐらいごとに狼の面をかぶった連中が馬に乗って襲い、双児のうちの1人をさらって行き、しばらくして返された子供は白痴で体は巨大化し、数年で死んでしまうということがこの数百年の間続いていた、その村にガンスリンガー(拳銃使い)とその仲間3人と一匹が行きつき、村を救うために狼と戦って勝利する、という話です。そして勝利するためにトゥダッシュという異次元空間を移動する方法で、70年代のニューヨークを何度も訪れ、次第に狼の謎を解いて行くのですが、その結果最後のクライマックスの狼とガンスリンガーたちの戦いは何とたった11ページしか書かれていないのです。そのあっけなさたるや、呆れてしまう程のものです。
 キングだけあって、こんな長篇でも読ませてしまうドラマ構成はさすがだと思いますが、最後の死闘があまりにもあっけないので、それまで延々と読まされてきた物語とは、別の物語のようにも感じてしまうほどでした。
 「ダーク・タワー」シリーズはガンスリンガーとその仲間たちがダーク・タワーを目指す物語で、この「カーラの狼」は本筋からはずれた一つの挿話でしかないのですが、一つの挿話でこれだけの分量なのですから、実はこのシリーズは7部で終らず、8部以降も続くのではないか、と思われるほどです。第6部はもう既に発売されているようなので、近々入手するつもりです。冒頭にこれまでのあらすじが書いてあるので、途中から読まれる方も大丈夫です。ぜひお手に取ってみてください。

感謝の気持ち

2006-11-14 19:55:57 | ノンジャンル
 今日は、ホームヘルパー2級取得講座の現場実習の2日目で、デイケア(通所リハビリテーション)に行ってきました。デイケアとは、体の機能が衰えている方を家まで迎えに行き、一日施設でリハビリテーションやレクリエーションをして過ごして、また家まで送って行く、というサービスです。
 今日の施設では足の不自由な方ばかりで、杖をついたり、人の介助がないと歩けなかったり、車椅子だったりで、認知症のような方はいらっしゃいませんでした。とても明るい施設で、利用者の方々もスタッフの方々もお互いに気が知れていて、楽しい時間を過ごされていました。
 私もお茶を出したり、休憩時間に利用者さんに話し掛けたり、コーラスに参加させていただいたり、ととても楽な仕事だったのですが、実際にスタッフになるとハードだよ、との話も聞きました。
 そうした中で、一番感心したのは、利用者さん達が何かスタッフに助けられると、必ず「ありがとう」「ありがとね」「ありがとさん」と感謝の言葉を述べられることでした。私が朝、「今日、一日実習させていただく後藤です。よろしくお願いします。」と言った時も、必ず向こうも頭を下げて「よろしくお願いします」と言ってくださるのでした。これが普通なんだろうか? それとも今日行った場所が特に上品な方が多く来ている場所だったのか? とにかく「ありがとう」と言われて、悪い気持ちになる人はいません。授業でもどなたかの先生がおっしゃっていましたが、常にすぐ「ありがとう」の言葉が出るようにしておきたいものです。
 感謝の気持ち、謙虚な気持ちが大事だということを、再認識させられた一日でした。

三島由紀夫主演『からっ風野郎』

2006-11-13 16:42:51 | ノンジャンル
 W0W0Wで、三島由紀夫主演、増村保造監督の'60年作品「からっ風野郎」を見ました。
 相良組の組長を撃った罪で刑務所にいる朝比奈組の二代目タツオ(三島由紀夫)は、出所してから相良の雇った殺し屋に命を狙われます。タツオは実家の手伝いをしていた若い女(若尾文子)に惚れ、妊娠させますが、労働運動のリーダーの兄に巻き込まれ彼女は逮捕されます。釈放された女に子供を堕ろすようにタツオは言いますが、彼女は頑として産むといいます。そんな時、彼女の兄が相良組に誘拐され、タツオは彼の解放と、朝比奈組の収入の大半を占めるトルコ風呂の権利書との交換を提案されます。始めのうちは無視しようとしますが、最後には相良組の条件を飲み、タツオは堅気になる決心をします。大阪の叔母さんのところへ一時身を隠すため、東京駅に向かったタツオと女は、釈放された女の兄を待ちますが、タツオがちょっと女のもとを離れたすきにタツオは殺し屋に殺されてしまいます。
 三島由紀夫は、まさに駆け出しの気の強いあんちゃんという役どころそのままで、文化人の「ぶ」の字も感じさせません。開巻から上半身裸で、普段も素肌の上に革ジャンをはおり、肉体を見せる場面はふんだんに用意されています。これはやはり、本人の希望だったのでしょうか?
 でも何と言ってもこの映画で一番素晴らしいのは若尾文子の存在感で、どんなにタツオから暴力を受けても子供を産むとの決心を曲げない、気の強い、しかも地味な女を見事に演じていましたし、役をはみだした彼女の魅力には目をみはるものがありました。
 プログラム・ピクチャーの一本として作られた映画ですが、三島由紀夫ファンの方は必見です。

ジャック・パランスの死

2006-11-12 18:31:30 | ノンジャンル
 昨日の夕刊に、ジャック・パランスの死亡記事が載っていました。今月の10日、カリフォルニア州の自宅で87歳で亡くなったそうです。
 新聞記事では「シェーン」での黒づくめの悪役で、アカデミー賞の助演男優賞候補になったことがあり、その後、喜劇に転じ、「シティ・スリッカーズ」で92年のアカデミー助演男優賞を獲得したとありました。
 喜劇に転じてからの彼を私は知らないのですが、私が一番印象に残っている彼の姿といえば、56年のロバート・アルドリッチ監督作品「攻撃」の彼です。臆病で無能な上官エディ・アルバート(彼はオルドリッチ監督のお気に入りの悪役で、「ロンゲスト・ヤード」でも、卑劣な刑務所長を演じていました)の無理な命令で、部下を死なせ、自分も敵の戦車に轢かれ、右手がぶらんぶらんの半死半生の状態で、怒りの鬼と化し、エディ・アルバートを殺しに行くも、彼の目前で力尽き、倒れるという役を迫力満点で演じていました。
 また、63年のゴダール監督作品「軽蔑」での、お金に物を言わせてオープンカーを乗り回すアメリカの映画プロデューサーの役も思い出されます。(当時、この映画のジャック・パランスは本人そのものだった、と言われたものでした。)
 とにかく迫力満点で豪快な、といってもその細身の体がスマートでもある、カッコイイ役者さんでした。「シティ・スリッカーズ」というのは、まだ見ていないので、ちょっと探してみようと思っています。

ロバート・アルトマン監督『三人の女』

2006-11-11 16:33:45 | ノンジャンル
 ロバート・アルトマン監督の'77年作品「三人の女」をWOWOWで見ました。アルトマン監督の作品は、「M★A★S★H」「ナッシュビル」「ウエディング」のような群像劇と、少人数の人間関係を描いた作品群に分かれますが、本作は後者の方です。
 ある老人のリハビリ施設に、新人のスタッフとしてやってきた内向的で変わり者のピンキー(シシー・スペイセク)は、先輩のミリー(シェリー・デュバル)に恋心を抱き、彼女のルームメイトになり、ミリーの日記を盗み読みします。ミリーの行きつけのバーと彼女達が済む集合住宅のオーナーであるシェリーは極端に無口な女性で妊娠しており、地面に絵を描くのが趣味です。
 ある日、ミリーはシェリーの夫を部屋に連れ込み、以前のルームメイトに自分主催のパーティーをキャンセルされた腹いせにピンキーを罵ります。ピンキーはショックを受け2階からプールに飛び込み、昏睡状態になります。昏睡から目覚めたピンキーはミリーのことは分かりますが、自分の両親を認識できません。退院した彼女は昏睡前に比べて社交的になり、傍若無人にふるまいます。ミリーは、以前ピンキーが自分の社会保険番号を自分のものとして使ったことで、管理責任を問われ、リハビリ施設を辞めます。
 そんなある日、夜中にミリー達の部屋にシェリーの夫が現れ、シェリーの出産が始まった事を知り、二人で駆け付けます。ミリーはシェリーの看護をし、ピンキーに医者を呼んで来るように言いますが、ピンキーは二人の姿を見つめることしかできません。お産は結局死産に終ります。
 ラスト、銃の暴発で死んだとされたシェリーの夫に替わり、ピンキーがシェリーのバーの店番をしています。彼女はミリーのことをママと呼び、シェリーを加えた3人が奇妙な共同生活を始めたことを暗示させ、映画は終ります。
 ミリーとピンキーの上下関係の逆転がこの映画の主たるテーマだと思います。シェリー・デュヴァルもシシー・スペイセクも自然で個性的な演技で、一見の価値があると思います。もう30年も前の映画ですが、楽しく見れました。もし見る機会があったら、オススメです。