韓国国家安保室次長
「韓米首脳に『核危機専用』の通信装備が渡された」
韓米演習に核作戦のシナリオも」
韓米は北朝鮮の核攻撃の抑止と対応に向けた具体的指針を来年半ばまでに完成させ、韓米合同演習に「核作戦シナリオ」を加える計画だ。韓国国家安保室のキム・テヒョ第1次長が明らかにした。米国の原子力潜水艦「ミズーリ」(SSN-780)が釜山(プサン)に入港したことも、北朝鮮の軍事行動をけん制するためとみられている。
キム次長は15日(現地時間)、米国防総省で開かれた韓米核協議グループ(NCG)第2回会議後の特派員懇談会で、「核戦略の企画と運用に関するガイドラインについて引き続き協議し、来年中半期までに完成することで合意した」とし、「北朝鮮の核兵器による脅威をどのように抑止し、対応していくかに関する総体的指針を来年中に完成させることで合意した」と明らかにした。また、同指針には「核と関連した重要な情報を両国がどのように共有するか、保安体系をどのように構築するか、核危機の際の協議手続きと体系がどうなるか、首脳間の保安インフラをどのように構築してリアルタイムのコミュニケーション・チャンネルを稼動するか」などが含まれると説明した。
キム次長はさらに、「乙支自由の盾(UFS)演習など韓米合同演習に核作戦シナリオを加え、共に演習を行う計画だ」とし、「これまでは北朝鮮の核攻撃の際、米国が自ら核報復に出るから安心しろという核の傘だったとすれば、今は韓米が最初から一緒に考え、準備し、演習し、一緒に実行するということ」だと述べた。また、「米国の核資産が朝鮮半島で独自で活動するのではなく、韓国の軍事資産とともに合同演習を行わなければならない」とし、「実際の核戦争状況の際、米国の核兵器と韓国の非核兵器、戦略資産が一緒に調和してこそ、互いに保護しながら空中、海上、陸上で軍事活動を行うことができるのであり、これを結合するためには実戦演習が必要だ」と述べた。
これは来年6月までNCGを通じて戦略爆撃機など米国の戦略資産を展開する際、韓国の戦闘機の護衛などに関する具体的な計画を立てた後、8月のUFSからこれを適用した演習を実施するという方針を明らかにしたもの。
キム次長はまた「すでに両国大統領に問題状況に備えて随時通話できる携帯装備が送られた」とし、「この装備を、電磁波攻撃からも保護するとともに、危機状況でも問題なく通話ができるよう補完していく状況」だと語った。そして、この装備は核危機専用だと説明した。
キム次長はこれと共に「韓米両国間の拡大抑止体制の運営とは別に、日本を含む域内の他の国々と共に多数が別途の拡大抑止について対話することもあり得る」と述べた。大統領室などはこれまで、韓米拡大抑止強化の論議に日本が参加することに距離を置く態度を示してきたが、別途の協議体を構成する可能性を取り上げたものとみられる。
韓米は会議後の共同声明で、「米国および同盟国に対する北朝鮮のいかなる核攻撃も容認されず、金正恩(キム・ジョンウン)政権の終末に帰結するだろう」とし、「米国側は韓国に対する北朝鮮のいかなる核攻撃にも即時に圧倒的かつ決定的対応をすることを改めて強調した」と明らかにした。
7月にソウルで第1回会議が開かれたNCGの第2回会議には、米国側から米国家安全保障会議(NSC)のマヘル・ビター情報及び国防政策調整官などが出席した。第3回会議は来年夏、ソウルで開かれる。
一方、韓国海軍は17日、ミズーリが釜山海軍基地に入港したと発表し、「ミズーリの入港を機に韓米海軍間の交流協力を増進させ、連合防衛態勢をさらに強固にしていく計画」だと明らかにした。原子炉を動力に使う米国の潜水艦は、原子力潜水艦(SSN)、巡航ミサイル原子力潜水艦(SSGN)、弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(SSBN)に分けられるが、核弾頭を装着した弾道ミサイルを搭載可能なSSBNを戦略原子力潜水艦と呼ぶ。ミズーリは兵器としてトマホーク巡航ミサイルとMK48魚雷などを搭載する。
キム次長の発言通り、来年8月のUFSなど韓米合同演習に核作戦シナリオを加え、共に演習を行う計画なら、韓米連合司令部作戦計画と米国戦略司令部作戦計画を調整しなければならない。朝鮮半島有事に備えた現在の韓米連合軍司令部作戦計画は、通常兵器を使って北朝鮮の攻撃を防ぎ反撃するものだ。米国の拡大抑止は、米国の戦略核爆撃機、戦略核潜水艦、核装着大陸間弾道ミサイルのような核兵器を総括する米戦略司令部の作戦によって稼動する。