内乱をすべて否定した尹大統領、憲法裁の弁論を終えて病院に直行
国会議員を引きずり出すよう指示したかについては「ありません」
非常立法機構のメモも「渡していない」
尹錫悦大統領が21日、憲法裁判所で開かれた弾劾裁判に出席した。現職の大統領が罷免の可否を審査する弾劾裁判に出て自ら弁論したのは憲政史上初めて。しかし尹大統領は、国会の非常戒厳解除の議決を阻止するために国会議員を引きずり出せと指示したことはなく、不正選挙の主張は単なる陰謀論ではないと強弁した。
同日午後12時48分頃、法務部の護送用ワゴン車に乗って京畿道儀旺市(ウィワンシ)のソウル拘置所を出発した尹大統領は、午後1時12分頃にソウル鍾路区斎洞(チョンノグ・チェドン)の憲法裁庁舎に到着し、午後1時58分頃に審判廷に入って座った。15日に逮捕されてから、公の場に姿を現したのは6日ぶり。
尹大統領は裁判の開始直後に発言の機会を得て「物心ついてから、これまで特に公職者として自由民主主義という信念一つを確実に持って生きてきた」としたうえで、「いろいろと詳しく検討してださるよう、裁判官の皆様にお願いしたい」と述べた。
尹大統領は同日の裁判で、国会の機能の無力化など内乱の核心となる情況を全面否定した。「戒厳軍に国会議員を引きずり出せという指示をしたことがあるか」というムン・ヒョンベ憲法裁判所長権限代行の質問には、「ありません」と答えたうえ、チェ・サンモク企画財政部長官に国家非常立法機構に関する予算編成メモを渡したことがあるかという質問にも、「渡していない」と答えた。また、「戒厳を宣布する前に、様々な選挙の公正性に対する信頼に疑問を感じることが多くあった。陰謀論を持ち上げたわけではなく、事実を確認するためだった」とし、不正選挙の主張が単なる陰謀論ではないと述べた。憲法裁は、尹大統領側が申請した24人の証人の大半を棄却し、イ・サンミン前行政安全部長官とパク・チュンソプ大統領室経済首席秘書官を証人としてさらに採択した。
一方、高位公職者犯罪捜査処はこの日の午後、尹大統領を取り調べるために強制拘引を再度試みたが、尹大統領が弁論を終えた後、三清洞の国軍ソウル地区病院に移動して診療を受けてから午後9時過ぎに拘置所に戻ったため、対面調査は失敗に終わった。
同日、尹大統領の支持者4000人余りが憲法裁近くに集まったが、警察が憲法裁周辺を車壁で囲んで防護を強化し、暴力事態は起きなかった。尹大統領側のユン・ガプグン弁護士は裁判が終わった後、「特別な問題がない限り、(次の裁判にも尹大統領が)出席するだろう」と述べた。 次の弁論は23日に開かれる。