ベアテ・シロタ・ゴードンさんの死去にあたり、「本当にご苦労様でした」とお礼が言いたい。京都伏見呉竹ホールで、ご本人の講演を聞いたことがある。
日本国憲法を起草した時の「平和」への決意と日本人への愛情だった。
「押し付け憲法」だというバカがいるが、爪の垢でも煎じて飲ませてやりたい。
当時の日本人の暮らしの実態を日本人より深く広くしっておられて、男女平等や社会福祉の必要性を強調し、戦後のどさくさから50年先を見据えてがん
ばっていただいた。世界平和を目指して生きている素敵な人だと思った。 アーメン。
「ベアテ・シロタ・ ゴードン」さんなのに、伏見での講演で、私はシロタです。このようなところで話をするのは「シロト・素人」です。と親父ギャグを入れて話されたのが忘れられません。だから「シロタ」さんと覚えているのです。
きょうの潮流 1・5赤旗
部屋の壁に、喫茶店の紙のコップ敷きを1枚、ピンでとめてあります。余白に、手書きで英語の「オール・ザ・ベスト!」の伝言、「ベアテ・シロタ・ ゴードン」の署名▼オール・
ザ・ベスト!。成功を願って乾杯!の意味でしょう。昔、GHQ(連合国軍総司令部)で日本国憲法の草案づくりに携わったベアテ さんです。彼女を主人公に当時を描く青年劇場
「真珠の首飾り」上演の折に来日した十数年前、喫茶店でお会いしました。取材の記念がサインです▼ふくよかな 姿。少女時代住んだ東京で覚えた、よどみない日本語。熱の
こもる話をつきつめると、「日本国憲法は世界の宝」でした。彼女には、そう語る資格がありました ▼貧しい家の少女が身売りされるような日本に戻らないで。22歳のベアテさ
んは、憲法に女性の権利を書き込ませようと、各国の憲法を焼け跡の東京で探し出 し研究しました。世界の先進をめざしたのです▼彼女は、憲法9条も世界の誇りとみなしま
した。人類の理想をまとめあげた9条です。「占領軍のおしつけ」と ののしる人々など、彼女にはけちくさい考えの持ち主にみえたはずです▼ベアテさん89歳の悲報が伝わり
ました。遺族は、献花より日本の九条の会への寄付を よびかけています。故人の遺志も、平和の守り手への「オール・ザ・ベスト!」だったでしょう。憲法を変えるという安倍政
権ができても、国民の52%は9条 の改定に反対しています(毎日新聞調べ)。日本人の多くは、誇りを捨てていません。