ミャンマー死者 計183人に
国軍銃撃で犠牲者急増
【ハノイ=井上歩】ミャンマーの人権団体、政治囚支援協会は16日、国軍側のデモ弾圧による死者が15日までに計183人に達したと発表しました。
同協会によるとこのうち、クーデター以降最悪の流血となった14日の武力弾圧による犠牲者が74人にのぼりました。最大都市ヤンゴンのラインタヤ地区とその周辺ではこの日、国軍部隊が抗議の市民に対して実弾による銃撃を繰り返し、地元メディアによると37人が殺害されました。犠牲者には15歳の少女も含まれているといいます。
15日にもヤンゴンやマンダレーなどでデモ参加者が銃撃を受け、15人以上の死者が出ました。政治囚支援協会は15日までに2200人近くが治安当局に逮捕され、1856人が拘束下にあるとしています。
国軍はヤンゴンの2地区に出していた戒厳令を15日、6地区に拡大。モバイル通信を遮断するなどし、非暴力・不服従運動で軍事独裁への抵抗を続ける国民を暴力的な弾圧で押さえこむ姿勢を強めています。
ミャンマー国軍は武力弾圧をただちに中止せよ
――国際社会の一致した取り組みを呼びかける
志位委員長が声明
日本共産党の志位和夫委員長は16日、「ミャンマー国軍は武力弾圧をただちに中止せよ――国際社会の一致した取り組みを呼びかける」と題する声明を発表しました。日本共産党は声明を国連安保理の15の理事国と日本政府に届けました。
一、ミャンマー国軍は2月1日のクーデター以来、国民の平和的な抗議に殺傷兵器を向け、一部で戒厳令を敷き、弾圧をいっそう強めている。国連の発表によれば、軍の弾圧による死者はすでに138人にのぼる。
日本共産党は、平和的な抗議行動を武力で踏みにじる残虐な行為を強く糾弾する。ミャンマー国軍は弾圧を直ちに中止し、拘束した全ての人々を直ちに解放し、総選挙をへて民主的に成立した国民民主連盟(NLD)政権への原状復帰を行うよう、あらためて強く要求する。
一、抗議行動は、公務員も参加するゼネストも行われるなど、ミャンマー全土に広がっている。クーデターを容認しないというミャンマー国民の圧倒的な声は明確である。日本共産党は、国軍の暴挙に抗議してたたかうミャンマー国民との連帯を表明する。
国軍は対話と協議を拒否する理不尽な態度をあらため、平和的解決への取り組みに踏み切るべきである。
一、国連安保理は、「女性、青年、子どもを含む平和的な抗議参加者に対する暴力を強く非難する」と全会一致で議長声明を発表した(3月9日)。東南アジア諸国連合(ASEAN)は、事態解決に向けて「法の支配、民主主義、人権尊重」の順守と「ミャンマーの全当事者が参加する平和的解決」のために努力を続けている。
中国など一部の国は、「内政不干渉」の名のもとに、踏み込んだ対応を回避しているが、そうした対応は国軍の跳梁(ちょうりょう)の背景ともなっている。民主的に選ばれた政権を軍事クーデターで倒すことは重大な国際問題であり、国際社会はこの暴挙を容認することがあってはならない。
日本政府は、ミャンマー国民の意思に応え、軍政の正統性を認めないという立場を明確にし、国際社会の取り組みのために積極的な役割を果たすべきである。