文大統領、新検察総長にキム・オス元法務次官を指名
野党「検察掌握宣言」と強く反発
文在寅(ムン・ジェイン)大統領が3日、新しい検察総長候補者としてキム・オス元法務部次官(58・司法研修院20期)を指名した。パク・サンギ、チョ・グク、チュ・ミエ元法務長官在任時代に法務部次官として働いたキム元次官を、文在寅政権最後の検事総長に起用し、これまで進めてきた検察改革を安定的に完了するためとみられる。野党は「予想通りの親文(文在寅支持派)人事」だとして、強く反発した。
文大統領は同日午後、大統領府でパク・ポムゲ法務部長官に会い、パク長官から推薦の意見を聞き、キム元次官を検察総長候補に指名した。ユン・ソクヨル前検察総長が今年3月、任期を4カ月後に控え途中辞任してから60日後の人選だ。
パク・ギョンミ大統領府報道官は「キム元次官は最高検察庁科学捜査部長やソウル北部地検長、法務部次官など法務部と検察の要職を経て豊富な経験を積み、法と原則に則って主要事件を厳正に処理してきた。同時に国民の人権保護と検察改革にも率先して取り組んできた」と指名の背景を説明した。また「キム元次官が積極的な疎通で検察組職を安定化させる一方、国民が望む検察に生まれ変わるよう検察改革という時代的任務を果たすことを期待する」と付け加えた。
今回指名を受けたキム元次官は、2019年6月にユン・ソクヨル前総長が選ばれた当時も総長候補に名前が挙がっており、“浪人”の末、総長に内定した。法務部次官退任後、大統領府が監査院監査委員として重ねて推薦したが、チェ・ジェヒョン監査院長の拒否で実現しなかった。大統領府の主要関係者は、「キム元次官は公正取引委員長や金融監督院長、国民権益委員長候補にも名前が挙がった。公職者候補でほぼ最多推薦された方ではないかと思う。それだけ多様な分野で能力を備えているという証拠だ」と述べた。
退職後も多くの公職の候補として取り上げられたことは、文大統領の信頼がそれだけ厚いことを裏付けている。キム元次官の指名は、検察総長の人選基準として「大統領の国政哲学に対する相関性」に言及したパク・ポムゲ長官の発言とも関連があるとみられている。検察総長になった後、公正に捜査を指揮するのかという疑念の声が上がるのもそのような背景からだ。
野党「国民の力」のペ・ジュニョン報道担当は論評を発表し、「要職の候補に名前が挙がるほど、キム元次官は名実ともに文在寅政権寄りの人物だ。大統領府が監査委員候補に名指ししたものの、政治的偏向性を理由に拒否されたこともあった」とし、「今日のキム元次官の検察総長指名は、政権に向かって捜査の刃を向けようとしたユン・ソクヨル前総長を追い出してまで検察を権力の足下に置こうとする、事実上の“検察掌握宣言”に他ならない」と反発した。
キム元次官は全羅南道霊光(ヨングァン)出身で、ソウル大学法学部を卒業、司法研修院20期だ。ソウル中央地検特捜1部長やソウル高検刑事部長、最高検察庁科学捜査部長、ソウル北部地検長、法務研修院長などを歴任した。