大阪市 「広域一元化」条例策す
松井市長“「都」構想の対案”
来年2月議会に
松井市長“「都」構想の対案”
来年2月議会に
大阪市の松井一郎市長(大阪維新の会代表)は5日、市役所内で記者会見し、「広域行政一元化」条例案を来年の2月議会に提出すると表明しました。先の住民投票(1日投開票)で大阪市を廃止・分割する「大阪都」構想が否決されたことを受け、松井氏は「これが(否決された)『都』構想の維新としての対案だ」と述べました。
維新の「都」構想は、大阪市を廃止し権限と財源を「都(府)」に吸い上げ、カジノ誘致のための「夢洲(ゆめしま)」開発をはじめ大型事業など広域行政の権限を「1人の指揮官(知事)」に一元化することが狙いでした。すでに「バーチャル都構想」として港湾局の統合、新型コロナ対策の府への一元化、大学、病院、公衆衛生研究所の統廃合など計画・推進されてきました。住民投票で大阪市廃止が否決された下で、大阪市を残したまま、条例で広域行政の権限を知事に移し、すでに進んでいる統合などの「一元化」を元に戻すことに縛りをかけようというものです。「広域一元化」「府市一体」のルールづくりは副首都推進局が担当することになります。
住民投票で否決されたら今度は、維新と公明で過半数を握る市議会で可決できる条例によって「広域一元化」を強行する考え。松井氏は会見で、大阪市を残したままの「総合区8区案」を公明党から提案することも促しました。
大阪府の吉村洋文知事も同日夕、記者団に「府市が広域行政を一体でやっていく条例案を、来年2月の定例府議会に提出したい」と述べました。
大阪市廃止 再び否決 住民投票
市民の良識、維新野望砕く
市民の良識、維新野望砕く
大阪市を廃止することの是非を問う住民投票が1日行われ、開票の結果「反対」多数となり、大阪市の存続が決まり、制度案は廃案となりました。130年の歴史をもつ大阪市をつぶし、権限も財源も「都(府)」に吸い上げ、「1人の指揮官(知事)」のやりたい放題の体制をつくろうとする大阪維新の会(代表・松井一郎大阪市長)の野望を市民の良識が打ち砕きました。投票率は62.35%(前回66.83%)。
(写真)「反対」多数の報道に喜びを爆発させる市民=1日、大阪市
大阪市を廃止・分割する「大阪都」構想の制度案否決は、2015年5月の住民投票に続いて2度目。維新は前回反対だった公明党を抱き込み、2度目の住民投票に持ち込みましたが、制度案は特別区の数を五つから四つに変えたぐらいで骨格は同じ。住民サービスも特別区設置の2025年1月1日時点では「維持する」が、それ以降は維持するよう「努める」という努力義務にしかなっていませんでした。
日本共産党も加わる「大阪市をよくする会」と「明るい民主大阪府政をつくる会」は、特別区になれば毎年約200億円の財源不足になり、特別区設置コストが15年間で1300億円もかかることなどを挙げ、住民サービスの低下は避けられないと指摘。「大阪市を残してこそ、命と暮らしを守るまちにすることができる」と訴えました。
一方、大阪維新の会は1日も「『都構想で住民サービス低下』はすべてデマです」とのビラを配布。松井一郎代表(大阪市長)らがマイクを握った街頭説明会では「大阪を衰退させたのは共産党」(維新府議)などのデマ攻撃までして大阪市解体に異常な執念をみせましたが、市民の良識の前には通用しませんでした。