母は 亡くなる少し前に あの子をあそこまで追いやったのは私の間違いだったかしら と言った
姉が遠い福井に嫁いだことを言ってるのかと思った
そうじゃなくて ピアノを仕込んだ事だった
私は姉の後を追うように 四歳になる前に始めた
学習能力が良くて(自慢~)先生の期待通り
だが ある日突然切れた
8歳だったか 精神的におかしくなった
立てないと言い出し 謎の発熱 言葉も満足に話せなくなった
凄いストレスだったのだ(自由奔放 野放しでないと生きていかれない性質だ)
それで やめた
その点 姉は凄い 万年春風少女だからね
何しろ 漫画片手にピアノの練習
夜遅くなっての練習は近所迷惑だから早く帰ってきなさい なんて言われても 決まって帰りは夕刻
果ては 姉への小言が夫婦喧嘩にまで発展する始末
だが やめてもいい 自分で決めなさい そう母が言った時 姉は続けると言った
音楽学校への進学だって それぞれ専門の先生に個人レッスン
入学しても 母は熱心だった
こっちは 安い授業料の都立高校だ
受験だってなんだって 私が一人で決めた
当時は 拗ねたものだ
私はシッカリ者 姉は危い性格
そう思ったんだろうね 親は
本当はそうじゃなかったんだよ
姉は ピアノがあったから あの土地でもやってこれた
教職の免許を活かすことが出来るかもしれないって 今日 電話があったよ
私 言ったでしょ? お母さん そんなこと無いって
芸は身を助ける 皮肉でもあるけど そうなりそう
だからね お母さん 間違ってなんかいなかったってば
良かったね♪