みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

路上の民主主義―自ら考え動き出す人たち(朝日新聞社説)/滞納者に生活保護費差し押さえ示唆(白井康彦)

2014-05-15 18:50:37 | ほん/新聞/ニュース
きょうは朝から「市民派議員になるための選挙講座」の資料づくり。

仕事に取り掛かる前に新聞を読んでおこう。
夏目漱石の「こころ」を読もうと開いた、
朝日新聞の社説に感銘を受けた。

  社説:路上の民主主義―自ら考え動き出す人たち 
2014年5月15日(木)付 朝日新聞

変わらなければ。
 変えなければ。
 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故を経験した2011年。「第二の敗戦」といった言葉も飛び交うなか、日本社会は深い自省と、根源的な変革を求める空気に満ちていた。
 それを目に見える形で示したのが、震災から約半年後に東京で開かれた「さようなら原発」集会だ。主催者発表で6万人が参加。ノーベル賞作家・大江健三郎さんは訴えた。「何ができるか。私らにはこの民主主義の集会、市民のデモしかない」
 あれから3年近くが経った。

■首相がまく種
 自民党が政権に戻り、原発再稼働が推進され、大型公共事業が復活する。
 何も変えられなかった。
 冷めた人。折れた人。疲れた人。民主党政権への深い失望と相まって膨らんだ諦念(ていねん)が、安倍政権の政治的原資となってきたことは否めない。
 反対意見に向き合い、議論を深める。民主制の根幹だ。しかし首相はどうやら、選挙で選ばれた、最高責任者の自分がやりたいようにやるのが政治で、反対意見なんか聞くだけ無駄だと考えているようだ。
 憲法の縛りさえ、閣議決定で「ない」ことにしてしまおうという粗雑さ。これに対し、与党が圧倒的議席をもつ国会は、単なる追認機関と化しつつある。
 気づいているだろうか。
 首相の強権的な政治手法とふがいない国会のありようが、自ら思考し、行動する政治的な主体を新たに生み、育てていることに。怠慢なこの国の政治家にとっては、幸か、不幸か。

■声を響かせる
 「『Fight the power』、これは権力と闘えって意味で、ちょっと過激なんすけど、まあ英語だから大丈夫かなと」
 憲法記念日に東京・新宿で行われた「特定秘密保護法に反対する学生デモ」。集合場所の公園で約400人が声を合わせ、コールの練習を始めた。都内の大学生らが主催した、党派によらない個人参加のデモ。ネットや友人関係を通じて集まった。
 出発。重低音のリズムを刻むサウンドカーを先頭に、繰り返される「特定秘密保護法反対」「憲法守れ」。堅苦しい言葉がうまくリズムに乗っかって、新宿の街にあふれ出していく。
 大学生たちがマイクを握る。
 「自分らしく、自由に生きられる日本に生まれたことを幸せに思っています。でも、特定秘密保護法が反対を押し切って成立した。このままじゃ大好きな日本が壊れちゃうかもしれないって思ったら、動かずにはいられませんでした」
 「私は、私の自由と権利を守るために意思表示することを恥じません。そしてそのことこそが、私の『不断の努力』であることを信じます」
 私。僕。俺。借り物でない、主語が明確な言葉がつながる。
 社会を変えたい?
 いや、伝わってくるのはむしろ、「守りたい」だ。
 強引な秘密法の採決に際し、胸の内に膨らんだ疑問。
 民主主義ってなんだ?
 手繰り寄せた、当座の答え。
 間違ってもいいから、自分の頭で考え続けること。おかしいと思ったら、声をあげること。
 だから路上に繰り出し、響かせる。自分たちの声を。

 「Tell me what democracy looks like?(民主主義ってどんなの?)」のコール。
 「This is what democracy looks like!(これが民主主義だ!)」のレスポンス。

 ある学者は言う。頭で考えても見通しをもてない動乱期には、人は身体を動かして何かをつかもうとするんです――。
 彼らは極めて自覚的だ。社会はそう簡単には変わらない。でも諦める必要はない。志向するのは「闘い」に「勝つ」ことよりも、闘い「続ける」ことだ。

■深く、緩やかに
 5月最初の金曜日に100回目を迎えた、首相官邸前デモ。
 数は減り、熱気は失せ、そのぶんすっかり日常化している。植え込みに座って、おにぎりを食べるカップル。歌をうたうグループ。「開放」された官邸周辺を思い思いに楽しんでいる。
 非暴力。訴えを絞る。個人参加。官邸前で積み上げられた日常と、新しいデモの「知恵」がなければ、昨年12月に秘密法に反対する人々が国会前に押し寄せることも、学生たちのデモも、なかったかもしれない。

 つよいその根は眼にみえぬ。
 見えぬけれどもあるんだよ、
 見えぬものでもあるんだよ。
 (金子みすゞ「星とたんぽぽ」)

 たんぽぽのように、日常に深く根を張り、種をつけた綿毛が風に乗って飛んでいく。それがどこかで、新たに根を張る。
 きょう、集団的自衛権の行使容認に向け、安倍政権が一歩を踏み出す。また多くの綿毛が、空に舞いゆくことだろう。
 社会は変わっている。
 深く、静かに、緩やかに。 


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中日新聞の生活面にも白井さんの記事。

生活保護制度や介護保険制度など、
社会的に弱い立場の人たちを守る政策が、切り崩されていく。

この国はどこへ行こうとしているのか。
でも、わたしもふくめて、あきらめない人たちは「NO!」の声をあげつづける。

  滞納者に生活保護費差し押さえ示唆
2014年5月15日 中日新聞

 生活が苦しい人を支援している団体や法律家らが「地方税や国民健康保険料を滞納している生活苦の人に対して自治体が過酷な取り立てをするケースが目立つ」と訴えている。きちんと納税する人との公平性の観点もあり、微妙な問題だ。自治体が生活保護の受給者に差し押さえの可能性をちらつかせた事例をもとに考えてみた。
 前橋市に住む男性(65)は大工だったが病気で働けなくなり、二〇一二年から生活保護を受けている。市長名の催告書を手にしたのは昨年八月。固定資産税や市民税などの滞納分とその利息分の合計約二百十一万円の全額の納付を求める内容だった。
 「期日厳守」「納付または連絡がない場合は、財産の差し押さえを執行」などと厳しい文字が並んでおり、男性は動揺。市収納課の職員と話し合い、初回の分納金の六千円を納めた。男性の生活保護の受給額は、家賃に当たる部分と生活費に当たる部分の合計で月十万円余り。毎月六千円を納めると、生活は成り立ちにくい。
 生活保護法は生活保護費の差し押さえを禁じている。生存権にもとづく最低生活費であるからだ。これを根拠にして支援に乗り出したのが、司法書士で「反貧困ネットワークぐんま」の代表も務める仲道宗弘さん。「(男性は)催告書の文言を見て生活保護費が差し押さえられると誤信した。違法性が強い文書だ」と強調する。男性は市に六千円の返還と滞納処分の停止を求めた。
 結局、男性は分納を続ける必要はなくなった。ただ、市は六千円の返還には応じていない。「自主的に支払ってもらったのであり、還付する法的根拠がない」(収納課)という論理だ。
 自治体は生活保護費の差し押さえをしてはならないが、滞納者と相談して自主的に納付してもらう道はある。市は「催告書は自主的な納付を促す狙いだったが誤解を与えたので、生活保護受給者に送るものについては、差し押さえの文言を外す修正をした」(同)と説明する。
 静岡県掛川市では生活保護受給者に「差押予告通知」の文書が送られていたことが明るみに。国民健康保険料などを滞納していた二人に送られた赤い封筒の中には、ピンク色のチラシも入っていた。「このままだと あなたの給料が!家が!車が!差押になります。今すぐ納付を!!」と大きな文字が躍る。
 受給者らを支援する「掛川生活と健康を守る会」の幹部らは「生活保護費は差し押さえ禁止なのだから、脅迫じみた督促はおかしい」と訴えるが、市納税課は「生活保護受給者でも、こちら側からの連絡に反応していただいていない人などには通知は送ることがある。話を聞いたり調査をしたりして財産がないことが分かれば、差し押さえはしない」と説明する。
 自治体は生活保護費を差し押さえてはならないが、「差し押さえの示唆」は他の自治体でも行われているようだ。
 生活保護費や児童手当などの差し押さえ禁止財産が振り込まれた預金口座を、自治体がすぐに差し押さえていいかどうかも、グレーゾーン状態だった。「預金になったのだから禁止財産でなくなった」といった理屈で差し押さえる自治体が多かった。
 この問題では鳥取県が児童手当が入金された預金口座を差し押さえた事例で、広島高裁が昨年十一月、「預金になった後も差し押さえ禁止財産の性質を受け継いでおり、県の処分は違法」という趣旨の判決を出した。これを受けて鳥取県は、滞納整理マニュアルを改訂。「申し出によって禁止財産を差し押さえたことが分かった場合は、解除または取り消す」といった項目を織り込んだ。
 各地の自治体の債権管理担当者らは「広島高裁判決の影響は大きい」と話している。
 (白井康彦) 


  介護カット法案 強行可決 衆院委
2014年5月15日 中日新聞

与党、今国会成立めざす
 衆院厚生労働委員会は14日、介護保険制度のサービスカットを柱とする地域医療・介護総合確保推進法案を自民、公明両党の賛成多数で可決した。民主、維新、みんな、結い、共産の野党は「審議が不十分だ」として採決に反対したが、後藤茂之委員長(自民)が強行した。与党は15日の衆院本会議で可決して参院に送付、6月22日までの今国会中の会期内に成立させる方針。

 法案は2015年8月から、一定の所得がある人は一律1割の介護サービスの利用者負担を2割に引き上げる。特別養護老人ホーム(特養)の入所者への居住費や食費の補助も縮小する。15年4月から、特養の新規入所者を原則として中重度の要介護3〜5の人に限定。軽度の要支援1、2のお年寄り向けの訪問・通所介護事業は国から市町村に移す。

 医療分野では、患者の受け入れ態勢を整えるため都道府県に基金を設置。医療死亡事故の再発防止策を検討する民間の第三者機関を新設する。

 医療法や介護保険法など国民の生活に深く関わる19本の法改正を一括した法案で、野党側は「詰め込み過ぎ。審議時間が確保できない」と反発していた。

 法案は4月23日に衆院厚労委で審議が始まり、地方公聴会や参考人質疑を含め計39時間審議した。与党は14日の理事会で採決を提案。野党側は審議継続を求めたが、質疑終了後、動議で審議を打ち切った。

 野党筆頭理事の山井和則氏(民主)は委員会の終了後、記者団に「社会保障のための消費税増税と言いながら、介護サービスカットの法案を強行採決したのは国民への裏切りだ」と、政府・与党を批判した。 


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5月14日(水)のつぶやき

2014-05-15 01:13:48 | 花/美しいもの

理解不能な認定NPO法人制度の見直し | nikkei BPnet 〈日経BPネット〉:日経BPオールジャンルまとめ読みサイト nikkeibp.co.jp/article/column…


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