熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

つり銭詐欺

2007-12-18 22:29:50 | Weblog
司法試験基礎講座「刑法各論」講義を受講しています。
今回の講義は、「詐欺罪」です。

詐欺罪が成立するためには、①相手を欺いて、②相手に錯誤を生ぜしめ、③この錯誤に基づく財産的処分行為により、④財物を交付させる、または財産上不法の利益を得る、ことが必要です。

詐欺罪といってもいろいろあります。
その中で、結構身近なものに、「つり銭詐欺」があります。

事例1:Aは、Bが余分のつり銭を支払おうとしているのを知りながら、Bの錯誤を利用して、そのまま黙ってつり銭を受領した場合
⇒この場合、成立要件①の、「相手を欺いている」とは言えませんが(相手が勝手に錯誤に陥っている)、信義則上、法律上の告知義務があると解されるので、不作為による詐欺罪が成立します。

事例2:Aは、Bからつり銭を受領し、しばらくしてつり銭が余分にあることに気づいたが、そのまま黙って持ち帰った場合
⇒この場合は、学説上争いがありますが、しばらくして気がついたので、不作為の詐欺罪は成立せず、占有離脱物横領罪(いわゆる道に落ちていた1万円を拾って、そのまま自分のものにしたような場合です)が成立します。

占有離脱物横領罪は、詐欺罪より軽い罪ですが、いずれも犯罪です。
結構、身近で遭遇する事例なので、「ラッキー」とつり銭をそのまま懐に入れてはいけません。
正直に店員さんにお返ししましょう。

刑法各論は、窃盗罪、強盗罪、強盗殺人罪と、生々しい事例が続きましたので、詐欺罪で少しほっとしています(犯罪でほっとしてはいけませんが)。

12月末で、刑法各論の講義が終了し、来年1月から「商法」に入ります。
基礎講座も2/3が終了し、いよいよ終盤です。
気を引き締めて講義に臨むことにします。


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コメント
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