熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

弁理士会員研修

2007-12-11 00:01:23 | Weblog
弁理士会員研修「審決取消訴訟について」に参加してきました。

知財高裁の裁判官が講師のため、話の面白みは欠けますが、内容はなかなかのものです。

内容に触れる前に、ほんの少し、小ネタの紹介。

① 知財高裁は、東京高裁の特別支部です。
知財高裁以外の支部は、通常の支部で、その成立根拠は、最高裁規則に規定されています。
したがって、最高裁規則から削除された場合、裁判所支部は存続できなくなります。
これに対して、知財高裁は、知的財産高等裁判所設置法に基づいて設立されていますので、法律事項で、法律改正には国会の承認が必要です。
独立性が担保されています。

② 知財高裁は、東京高裁の特別支部なので、審決取消訴訟は、知財高裁ではなく、東京高等裁判所に提起することと、規定されています(特許法178条)。

③ 裁判官5人による大合議事件は、特許法・実用新案法の技術的事件のみ可能で、意匠法・商標法は、対象ではありません(特許法182条の2、実用新案法47条2項、意匠法・商標法には、対応する規定なし)。


講義内容は、かなり参考になりましたが、審決取消訴訟の代理人を務める弁理士が留意すべき事項として、「事実関係の主張か、法的評価の主張か、証拠評価の主張かの峻別をする」という指摘がありました。

私も弁理士資格を取得する前に、企業で審決取消訴訟を担当した経験がありますが、その際に、弁理士の作成した書類を読んで唖然としました。
講師の指摘するように、主張内容が峻別されておらず、読んでいても何を主張しているのか全く不明でした。
丁重に手直しをお願いしましたが、こんな書類を読まされる裁判官も大変だなという感想を持ちました。

また、「取消事由は、それが認められることにより審決の結論に影響を及ぼすものに限られ、個々の誤りではない。」という指摘もありました。
私も取消事由の数は、1つか2つ、多くても3つまでだと思います。
これも、私の経験ですが、上司の企業内弁理士に審決取消訴訟の提出書類を作成し、提出したところ、「取消事由の数が少ない、10位は記載するように」と指示されました。
何でも、この人によると、数が多いほうが裁判官の心証が良いと言うことでしたが、本当は逆でしたね。

誤って理解している人が結構多くいると思います。
正しい知識を得て欲しいものです。



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