熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

戦略的非上場

2009-06-23 20:56:49 | Weblog
NHKで「林原」の研究開発を取り上げていました。

「林原」は、明治16年、岡山の旭川のほとりで創業された水飴製造業“林原商店”としてスタートしました。
現在では、酵素・微生物とバイオテクノロジー産業のトップメーカーとして、トレハロースをはじめとする澱粉糖化製品、抗ガン剤となるインターフェロンなどの医薬品原料、安定型ビタミンCなど化粧品原料、さらに写真フィルムや光ディスク用の機能性色素などの研究・製造・販売を中心とするグループ企業へと発展しています。

この「林原」の特徴は、株式を公開していない(非上場)ことです。
この非上場を「戦略的非上場」と呼んでいます。

株式を公開している大企業は、株主を説得できる開発期間で3~4年くらいの研究しか手をつけられません。
株式を公開していない同族会社のメリットは、息の長い研究開発ができることです。
また、大企業が手がけないようなテーマで研究すれば、地方の企業の研究者でも、活躍の場が十分にあることを実証しています。

私が勤務していた企業も、当初、米国親企業と日本親企業とが株式をバランス良く持ち合い、非上場のメリットを活かした研究開発を行っていました。

ところが、ある時から、日本親企業が株式の大半を持ち、その影響力が顕著になってきて、基礎研究、長期的な研究開発テーマが少なくなり、短期的に成果を求めるようになってきました。
さらに、親企業を中心とする持ち株会社の一員となり、株主の声が直接聞こえるようになってきました。

そうすると、研究者も成果の出やすいテーマを選び、挑戦的なテーマを選ぶことを敬遠するようになってきました。
企業の中にも冒険を奨励する雰囲気が少なくなり、自然と活力のない職場になっていきました。

冒険を奨励し、挑戦を暖かく見守るような企業風土になればいいなと願っています。



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