常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

ホタルブクロ

2016年06月01日 | 


キキョウ科の多年草、山野に自生する。夜に花筒にホタルを入れて子供たちが遊んだ。夜になると幻想的な光で、格好の遊び道具であった。この素朴な花を愛し、庭の隅に植えこんで楽しむ人も多い。花の色は白が一番多く、薄紫のものもある。別名、釣鐘草。

かはるがはる蜂吐出して釣鐘草 島村  元
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昔話

2016年06月01日 | 民話


河合隼雄『昔話と日本人の心』を読んだ。20年ほど前、岸田秀の精神分析に惹かれ、このジャンルの本を少なからず読んだ。河合隼雄の『昔話の深層』は大変面白く、食膳に食事の時間にも読んだ。そんな関係でこの本も次に読むべく買ったのだが、興味の分野がずれて本棚にしまい忘れた状態になっていた。今月になって村上春樹と河合隼雄の対談が読む機会を得て、しまい忘れていたこの本を読んだ。就寝前の床のなかで、一晩、2時間をかけ、10日ほどで読みあげた。

心理学のやや難しい語句があるものの、昔から聞かされていた話であるためで取りつきやすく、しかもその分析は大変興味深いものである。この本に取り上げられている日本の昔話は、「ウグイスの里」「飯食わぬ女」「鬼が笑う」「白鳥の姉」「浦島太郎」「鶴女房」「手なし娘」「炭焼き長者」などである。一方日本の昔話と比較する西洋の昔話には、「忠臣ヨハネス」「三つ目男」「シンデレラ姫」などである。西洋においては、物語の結論が、低い身分の女が王や王子との結婚となるのに対して、日本の昔話では結婚は無となってしまうケースが多いことを例証している。

そんななかで第9章意志する女性で取り上げられた「炭焼き長者」は、女性が自分の意志で許婚の息子と離婚し、貧しい炭焼きの男と結婚し、そこにある宝を発見して幸福になる特異な話である。西洋の昔話が父権の権威に結び付いた自我を特徴づけるのに対し、「炭焼き長者」では母権的性格つまり受動的な性格を乗り越えて、積極的で能動的な側面を持っていることを説いている。西洋の父権的自我が傷ついていくなかで、日本人の全体性を構築する象徴としてこの物語を見ている。村上春樹が、河合隼雄に興味を持つのはよくわかる。村上春樹の小説世界が、頭のなかで考えて作りだされているものでなく、主人公がなぜそんな行動をとるのかわからないままに創作が進められていく。村上春樹の小説世界は、小説家の無意識の世界から生まれる世界でもあるのだ。
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