千歳山を歩くのは今年になって初めてかもしれない。この季節ならヒメサユリが咲いているかもしれないという思いから畑へいく前に登った。山中で知人のHさんに会う。「何だい忘れたころに登ってくるなあ。元気か。」と声をかけられた。この人は勤めていたころの同業者で、千歳山に20年以上も毎日登り続けている先輩だ。挨拶を交わして行違ったすぐ後に、ヒメサユリがひっそりと咲いていた。明け方降った小雨が、花や葉の上に残っていた。傍らに、白い布に油性のペンで、「とらないでね。わたしここで咲いていたいの」と書いた札が添えられていた。登山道に数本しかないヒメサユリを掘っていく心無い人がいるということなのだろう。
千歳山の松枯れが止らない。枯れた松が切り倒されて、薪のように積まれているそばに、植えらた松の幼木はこれから何十年経つと、立派な松に成長するのだろう。あと何年この山に登ることができるだろうと考えると、心もとない気がする。
千歳山に登ったのは、もう一つの理由がある。山友会の今年のメインイベントである鹿島槍ヶ岳の山行が、来月に迫っている。そのためのトレーニングがその理由だ。鹿島槍は扇沢登山口から種池山荘に一泊したあと、爺ヶ岳を経て冷池山荘に荷物を預けてサブザックで南峰から北峰に登って冷池山荘に引き返して泊まり、登山口へと帰る2泊3日の予定だ。昨年の雲ノ平に比べれば、歩行距離もずっと短くなっているが、十分なトレーニング必要だ。