野菜作りを始めてから6年目に入った。失敗を繰り返しながらも、どの野菜も一応の収穫が可能になった。野菜には旬があって、収穫の最盛期には食べきれないほど採れる。近所に分けたり、都会に住んでいる子どもたちに送るのも楽しみになった。ズッキーニは花が咲き、第1号を収穫してきた。今までは収穫は私、調理は妻とという暗黙の分業になっていたが、そろそろ見直しが必要になってきている。
ひとつは料理のマンネリ化だ。葉物を収穫してくると、サラダや煮物が定番だが、収穫量が増えると保存や違った食べ方を作ることも大事になってくる。ネットや料理番組で、いままで知らなかった調理方法を多様にしていくことが生活を豊かにしてくれる。今年は、少しづつ台所に入って、男の料理を考える。畑の作付も、食べたいもの、老人に必要な栄養がとれるものへと工夫したい。
野菜作りも野菜料理も楽しむことが基本。スーパーに行けば、手に入るものばかりだが、自分の手で作ることの楽しさが分かってきた。次の段階は、どうすればもっと楽しい食卓になるか、妻と相談しながら工夫したい。水上勉は『土を喰う日々』のなかで、食事につて語っている。
「一日に三回あるいは二回はどうしても喰わねばならなぬ厄介なぼくらのこの行事、つまり喰うことについての調理の時間は、じつはその人の全生活がかかっている一大事だといわれている気がする。」
飽食の時代、食べ物についての考えを再考することで、その生活の質はまだまだ高めていくことができるような気がする。