山友会の恒例行事のタケノコ汁を楽しむ会。山登りを楽しみながら、笹タケを採り、山中の山小屋で採りたてのタケノコ汁を味わう。もう20年も続くこの会の人気の行事だ。山菜取りの好きでこの会を立ち上げた前会長のアイデアで始められた企画だ。山登りをしながら、会の先輩から笹谷でのタケノコ取りの面白さを聞かされた。「あの山では座ってほとんど動かずにたくさんタケノコがとれるのよ。あんなに面白いタケノコ取りをしたことはなかった」
もちろん年によってタケノコが出始める時期も違うし、出の悪い年もある。ずいぶんこの会に参加してきたが、先輩から聞かされたようなタケノコ取りをしたことはない。今回はずいぶんよく採れたと思って笹原から出てきて、前会長のハケゴを見て驚いた。数量もタケノコの太さも全く違っている。どうすればこんな立派なタケノコが採れるのか。その驚きは、今になっても解消しない。今日の参加者18名。登山6名、タケノコ採り7名、タケノコ汁調理5名。
例年梅雨時で雨にたたられることが多いが今日は快晴。適度な風で、涼しい。稜線から朝日連峰、月山、蔵王山、飯豊連峰と山形県の代表的な山々がくっきりと見えた。
ハマグリ山の東斜面に竹笹の原が広がっている。8時半に現地到着。10時までの予定で笹原に入る。少し入っただけで、笹タケはすでに背の高さを越えている。就餌中の熊と遭遇することを考えてサイドバッグに鈴をつける。「一本見つけたら、そこで左右を確認する」という前会長の教えを実践してみる。だが目につくのは細いものばかり。質はともかく量を、とのリーダー言葉に従い、裏折りも辞せずにひたすら竹藪を動く。密集した笹タケを踏みながら歩くのだが、歩くのが困難である。竹藪から出て、収穫したタケノコを写真に収めた。思えば自然の中に身をおくことなどほとんどなかった勤務時代、この山友会が自然の学校であった。山道の歩き方、地図の見かた、花の名前、食べられる山菜やキノコ、全部山の会で教わった。
タケノコ汁の鍋奉行はNさん。この人なしに、タケノコ汁会は成り立たない。火加減と剥いたタケノコを鍋に投入するタイミング、そして味加減。それに加えてタケノコの天ぷらや珍しいワラビの天ぷら。Nさんを補佐する調理斑の人たちの活躍も見逃せない。タケノコを家に持ち帰って食べるより、山中で調理された採れたての味。大満足のタケノコ汁会であった。
このタケノコ汁の会も今年が最後となる。会員の高齢化で、いまのままの状態を維持することは難しくなっている。状況に合わせた山の楽しみ方の模索が始まる。