常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

木槿

2017年07月17日 | 


木槿が咲きはじめると、秋の気配を感じる。俳句の季語では秋に分類されているし、秋風が吹くと木槿の花が盛りになるような気がする。白い花は清らかに感じられて、涼しい朝に見ると清々しい。この花が韓国の国花であることは、以前このブログで書いたような気がする。

道のべの木槿は馬にくはれけり 芭蕉

この句は、芭蕉が『野ざらし紀行』の旅で詠んだものである。千利休の逸話がある。利休が時の権力者秀吉を、茶の湯に招いた。いつも利休の庭には蕣の花がきれいに咲いている。この日に限って、庭の蕣、(木槿であるらしい)が一つ残らず切り取られていた。秀吉が不思議に思いながら茶室に入ると、一輪の蕣、つまり木槿が床の間に生けてあった。庭の花がなく寂しく感じていた秀吉は、利休のこのもてなしにいたく感動した。

芭蕉はこの句の前書きに、馬上吟としている。利休のこの故事が頭にあったらしい。天下人をさえ感動させた木槿の花を、芭蕉が乗った馬が食ってしまったところ俳味があり、おかしみがある。
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