カサブランカはユリの女王と言われている。日本産のタモトユリや山ユリを交配させたものだが、オランダで作られたハイブリット種である。オランダでは花の名に街の名をつけること多いらしく、モロッコの都市カサブランカの名がつけられた。懐かしい映画「カサブランカ」を、思い出させる。ここ数年、知人から切り花をいただいて玄関先に飾るようになったが、今年は久しぶりに「植木市」に行って、球根を買ってきた。鉢に植えて、つぼみを持ち、咲くのもあとわずかという時、知人からまた切り花をいただいた。
カサブランカの「カサ」は家を意味し、「ブランカ」は白いこと、つまり白い家という意味合いである。たしかに花びら大きく分厚い。このユリの株が大きくなれば、名の通りの立派な花になるであろう。
ためてゐし言葉のごとく百合ひらく 稲垣きくの
カサブランのつぼみが少しづつ大きくなって、やがて大輪の花を咲かせるさまは、大事にしてきた宝物を、一気にまき散らすような大胆な行為のように思える。