
禿岳は鬼首盆地の外輪山になっている。南に小柴山、大柴山、北には神室岳が峰続きになっている。久振りの禿岳であるが、絶好の好天に恵まれた。10月の最初にしては、汗をかくような夏の気候だ。紅葉には少し早かったが、青空に浮かぶ秋の雲、山中の木陰で吹いて来る心地よい風に癒される秋の山歩きであった。
まばたいてをりぬ秋嶺ば かりみて 藤村多加夫
山中の歩行距離5.3㌔、歩行時間3時間30分、休憩・昼食1時間30分、登り511m、下り508m。ほぼコースタイムの歩きであった。やや急な坂にはロープが張られており、下りにはロープをつかんでの下山となった。下半身の安定感はいまだしだが、足の疲労はさほどでなかった。この日の参加者は5名、内男性2名。
これからの山登りは、この程度、身体に負担のない山選びということになろうか。帰宅して烏賀陽夫妻の『ゆっくり山旅』を再読する。「岩手山はどう考えても私たちには無理」というコメントがあった。そういえば、宮沢賢治の農学校の教師時代に、課外事業に「山登り」があった。夜、麓を出発して朝の御来光を見るという厳しい授業だ。寒さに備えて、身体に巻きつける新聞紙を持参した。頂上で焚火、その後お鉢周りをして下山。若いエネルギーがあればこその賢治の授業であった。数年前の岩手山を思い出にして、もう若い人の真似はできない。