![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/5f/422767b1771cf9f701c6e77b02f43484.jpg)
物忘れがひどくなってきたような気がする。月に一度くらいの歯科の予約を忘れて、電話をもらうことが2度もあった。そんなことを防ぐために、スマホのカレンダー機能を利用している。ご丁寧に、そのカレンダーへの予約日の登録を失念しているのだ。年をとることの悲哀を実感させられる時だ。妻のもの忘れはもっとひどくなっている。そんな老年を励ます本がある。先日、ブックオフで求めた外山滋比古『「忘れる」力』だ。
偉い学者の先生のもの忘れのエピソードが書かれている。詩人の西脇順三郎のエピソードだ。外山が所要で西脇の家に行って、用件も終わったころ「これから会がある。一緒に出よう。」と誘われた。タクシーに乗ってからどこですか、と聞くと「はっきりしないが、貧乏な詩人たちの会だから、大したところではできまい。上野のSだったような気がする。」しかし、そこへ行ってもそんな会が開かれていない。「銀座のM会館だったかもしれない。」だが、そこにも会の開かれている痕跡はなく、ついに家まで逆戻り。
外山は、忘却こそ頭をすっきりさせる、という趣旨のエッセイを書いて自己弁護の勤めているという。「よく眠ったあとの朝の目覚めは、一日のうちでもっとも清々しく、気力にみち、ものごとがわかる状態である。夜中に忘却がすすんで、頭脳がきれいになっている証拠である。」たしかに、夜の十分な睡眠は、心身ともに活気を取り戻してくれる。頭の方はともかく、朝の足の動きが軽々ととして、散歩をより心地よいものにしてくれる。