向日葵には青い空が似合う。ギラギラと
した太陽の陽ざしが照りつけると、それ
を力に大きな花を咲かせる。長い少雨で
元気のなかったアジサイ、草木の丈さえ
伸びずいるコスモス。それらに比べて向
日葵の逞しさは、圧巻といえる。
向日葵を詠んだ詩歌といえば、やはり
前田夕暮の和歌の右に出るものはないよ
うな気がする。
向日葵は金の油を身にあびて
ゆらりと高し日のちひささよ 夕暮
夕暮はギラギラ照りつける陽ざしを金の
油と表現した。その花の大きさは、太陽
を小さく見せるほどである。こんな歌に
ふれると、暑い夏も満更ではない。暑さ
に負けず体を動かそうという気が起きて
くる。もう数旬で秋の気配が出てくる。
その時になって感じるは、夏が去って
いく淋しさだ。
このところの暑さに対する報道は、あま
りに通り一遍のような気がする。健康な
人も弱者も、その対策は一様だ。もっと
人それぞれの工夫や多様な対策があって
いい。クーラーのない時代、古人が緑陰
で風を受けて、暑気を払った例もある。
家のつくりでも、夏を旨とせよと、風の
通りを工夫したのは日本人の知恵である。
楽しみながら、この夏を乗り切って、
味覚の秋を迎えたい。