常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

小雪

2021年11月22日 | 日記
今日、二十四節季の小雪。古来の暦が不気味なほど、季節の移ろいに一致している。小雪の日に、予報では今夜遅くになって雪マークが現れた。二日ほど前、芸工大のスロープで夕焼けを見て、こんな穏やかな夕ぐれも今年見る最後かと思ったが、どうやらその予感は当たったらしい。あまりの美しさにカメラを出すと、冬木の根方で夕陽を撮るカメラマンがいた。大山桜の大木のシルエットに神々しい美しさがある。人はなぜ一本にかくも感動を覚えながら、その姿に見入るのであろうか。

我妹子が見し鞆の浦のむろの木は
 常世にあれど見し人そなき (万葉集巻3・665 大伴旅人)

木が依代となって山の神が里に降りて来るというのは、古来の日本人の自然信仰であった。むろの木は松の木で落葉することもなくいつまでも不変の姿を見せる。そんな松を見ることは、旅する人の無事を保証する手形のようなものであった。旅人は妻と一緒にこのむろの木を見たのだが、その旅で妻は亡くなってしまった。愚痴のひとつも言いたいのがこの歌である。木は古来、神の宿る神聖なものであった。夕陽にシルエットを見せる冬木の姿は、そんな古来の信仰をかいま見せる瞬間であったような気がする。自らの安寧を祈る気持ちが、シルエットの美しさに同調して、心のなかに安らぎを感じさせてくれるのかも知れない。今年もたくさんの写真を撮ったが、この一枚がベストショットであった。

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返り花

2021年11月21日 | 日記
紅葉した道のサツキに返り花が咲いた。ここのところ続く小春日和に、つい咲いてしまったのだろう。間もなく葉が落ちそうなのに、花をつけるのは珍しい。11月も下旬に入って、15℃ほどの気温が続いている。まだ霜が下りないようだが、最低気温が5℃を下回る日もあるので、気温の上下が植物に反応をおこさせるのだろうか。

うかうかと咲しすがたや返り花 杜支

次第に木々が葉を落とし、街路もすっきりとしているなかで、返り花を見つけると植物がいじらしいような気がする。冬の前の陽ざしのなかで、喜んで自分がいる。サツキも同じような感じをいだいていることを想像する。地球の上で生命を紡いでいるもの同士の連帯感のようなものを感じる。
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笹谷峠

2021年11月20日 | 登山
ふた国の生きのたづきのあひかよふ
 この峠路を愛しむわれは 斎藤茂吉

明治29年、齋藤茂吉は上山の尋常高等小学校を卒業し、8月斎藤家の養子となって開成中学校に入学した。この年茂吉は15歳、父に連れられて仙台駅までは上山から徒歩で関山峠を越えて作並温泉に泊っている。関山のほかに笹谷峠を越える方法もあるが、汽車に乗る前に温泉で休むことを考えたのかも知れない。言いたいことは、つい明治の時代まで、人は山中の峠道を歩いて移動していたということだ。自分の子どもの時代でも、嫁いだ姉の家まで、低い山を越えて4里の山道を歩いて行ったことを覚えている。

いま茂吉の子どもの頃の笹谷越えを偲ぶには、宮城側の川崎町今宿からの笹谷遊歩道を歩くのが一番である。千歳山に伝わる阿古屋伝説で、京都の公家を慕う阿古屋姫が、この峠でささやきを交わしたことから笹谷の名がついたという話がある。今宿には阿古松を祀った看板があった。東側の笹谷古道は、「化け石」、「函水」など峠を歩いた往時を偲ばせるものに所々で出会う。尾根に上がって標高900m地点には千住寺跡があり、壊れた手水鉢も保存されている。旅人はここで一休みし、道中の安全を祈願したと思われる。そこをさらに西進すると有耶無耶の関跡があり、ここがかっての国境である。

古道には古い時代から馬が荷を運び、西側の急坂では牛を使うこともあった。冬になると積雪のため牛馬も通わず、荷はもっぱら背負子いわれる人力で行われた。江戸時代、牛馬のほか、背負子として新山に100人、関沢50人も雇われていたと言われる。山形からは穀物、葛粉、煙草、銅などを移出し、宮城側からは生魚、呉服、小間物、石油などを移入した。関所で検分が済むと人馬は六地蔵に導かれ急坂を関沢へと下っていく。関沢の集落は、いわば物資の流通を担う運輸業の様相を呈していた。多くの物資を捌いて、生活も裕福であった。峠が新道となり、物資に流通が自動車や汽車の時代に入ると、この地区には棚田も捨てられ、人々は山中に入って炭焼きで暮らしの資を得るほかはなかった。茂吉の詠んだ峠路を「愛しむ」と表現しているのは、峠路がさびれて徒歩の時代の栄えた時代への懐古の情があったのかも知れない。
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ヤツデ

2021年11月19日 | 

冬に咲くヤツデは白く、どこか寂びしい花だ。そばに近づいてみるとやはり蜜を出すらしく、ハエや小さなアブがかすかに羽音をたたて集まっている。ずばぬけて大きな葉は裂けて天狗の団扇と言われているそうだ。八裂に裂けるのでヤツデというのかと思ってが、七裂、九裂と奇数のものが多い。八を縁起ものとみて命名されたものらしい。

窓の外に白き八つ手の花咲きて
こころ寂しき冬は来にけり 島木赤彦

ここのところ小春日和の温かい日が続く。夜には満月が、薄い雲のなかにきれいに見えていた。それにしても、冬の前は日が過ぎていくのはいかにも早い。カレンダーを見ると、11月もあと10日を残すのみ。予報では、この先気温が下がり雪の多い、寒い冬になるらしい。
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マイルな生活

2021年11月18日 | 日記

テレビでマイルズというスマホアプリが話題になっていた。若い会社勤めの人たちの間でこのアプリを使う人が急増しているらしい。早速、アプリをダウンロードしてみた。このアプリでは、歩く、走る以外に自転車や電車、自動車に飛行機での移動でも比率が異なるがその距離に応じてマイルが貯まる。通勤などをしている人たちが、歩いたり走ったりすると多い比率でマイルが貯まるので注目されているようだ。既に歩くことのモチベーションを高めるためのアプリはヘルスケア、dヘルス、suksuk、エモパーなど試みているものも数多い。ポイントや今度のマイルのような実利、エモパーのようにAIが話しかけてくるものなど、モチベアップにあの手、この手が用いられる。裏をかえせば、歩くという単純な運動を継続することが難しいことであるということだ。

やはり週一の山歩き程度の運動では、健康維持には心細い。dエルスやスマートウォッチでの最大酸素摂取量の動きなどをチェックすることで自分の今が分かる。疲れない山歩きでは、酸素接取量が減少することも分かった。やはり、毎日目標を決めてあるくことの大切さに改めて気づかされる。マイルを意識すると、朝の足取りが軽くなる。
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