3月、京都の町の各所では、雛祭りのイベントや特別展が目白押し。
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ミモロが住む岡崎エリアでも、素敵な雛の展示が行われています。
会場は、「象彦漆美術館」。
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昨年、10月に京都の本店をリニューアルした京漆の老舗「象彦」。岡崎の疎水沿いに建つ、すっきりとした白を基調にしたモダンな建物に生まれ変わり、その2階に「象彦漆美術館」があります。
店内に入ると、明るい陽光が注ぎ、まるでもう美術館にいるよう。
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大きな壁面を飾るのは、美しい色たちで、漆の色を示すもの。「まるで現代アートみたい…」とミモロ。
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さらに、黒の漆の異なる質感を示した正方形のボードも、とてもモダンなアートです。
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「老舗の漆のお店のイメージが変わっちゃったー。ここ美術館じゃないのー」と店内をキョロキョロ。
そもそも「象彦」の創業は、寛文元年(1661)、今から350年以上前に遡ります。その当時は、象牙屋であり、また漆器と唐物を扱っていたそう。その後、1800年代に蒔絵の匠であった西村彦兵衛が店を引き継ぎ、屋号を「象彦」に改めます。以後、今日まで西村家が、その店を営むことに。
「なるほど、象牙屋さんの彦兵衛さんだから『象彦』っていうんだー。知らなかったー」とミモロ。
4月3日まで「象彦漆美術館」で開催される「象彦 西村家の雛人形と雛道具展」は、その長い歴史を誇る西村家に大切に代々伝わる雛人形やお道具を展示しています。
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そこでミモロが鑑賞した感想を…
「お雛様は、西村家に嫁いできた女性たちが、実家から持ってきたもの。江戸初期の古い小さなお雛さまや丸平のお雛様もあります。皆、とても上品なお顔です。ミモロが今回の展示で感激したのは、実はお道具。台所の道具のザルやオタマ、陶器のお皿やお湯呑、漆の器など、本当に精巧にできたミニチュアの世界。あまりに小さくて、ミモロがくしゃみをしたら飛んでしまいそう…。直に近くで見られるのが魅力。こんな小さな雛道具が残っているのは、とても貴重で、見る価値は十分!」
さて、美術館と同じフロアには、美術品ともいえるような見事な漆の製品が展示されています。
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こちらは、お茶時に使われる棗(なつめ)。
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イキイキと飛び交う鶴の意匠が、見事な蒔絵で施されています。
「これも漆なの?」金色に輝くまばゆい香炉も。
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「京漆器の特徴を知ってますか?」と、ミモロにお話しくださったのは、管理部の牧野部長。
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「京漆器は、形、蒔絵などあるゆる点に見られる優美で繊細な趣が特徴なんですよ」。
「なるほど、とても薄くて、軽い…口当たりもやさしい感じ。」
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「それは、漆を塗り重ねる木地を薄く削る技術によるもので、光にかざすと、ほら光が見えるでしょ…」と、漆を塗る前の木地を見せてくれました。
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轆轤引きされた木地は、とても薄くて軽いもの。実際に木地を触るミモロは、その軽さにビックリ。優れた技をもつ木地師さんの存在が、漆器作りには欠かせません。
もっと漆器のことが知りたいミモロは、館内にあるビデオで、漆器の製作工程を学びます。
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「なるほど、本当に手間をかけて作られているんだねー。日本の職人さんの技術はすごいねぇー」
館内に並ぶ、製品を見る目が、グッと変わったよう。見る品ごとに「スゴーイ!」と感心しきり。
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「どうぞ、実際にいろいろ手に取ってみてください…」と。ここでは、漆器に触れることができます。ミモロも次々に展示されている品を見て回ります。
原料である漆は、もう国内ではほとんど生産されず、中国などの輸入に頼るのが現状。しかし、その技術は、いまだ日本は、卓越したものがあり、なかでも蒔絵は、日本の芸術性の高さを示す伝統の技。日本全国に漆器の産地はありますが、そのルーツは、平安京から。つまり京都から地方へと広がった技術です。そしてその土地の風土や生活にあった姿へと変わり、各地で独特の漆器が誕生、発展してゆきます。
「なあに?」とミモロが見つめるのは、緑色のガラスの入れ物。
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それは、1764年創業のクリスタルガラスで有名なフランスの「バカラ」とのコラボで生まれた品。日本とヨーロッパの伝統の技の共演です。
本店の2階はゆったりとしたスペースに、さまざまな器が並び、日本の誇る伝統の技、漆器の魅力を伝えます。
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1階には、日常の気軽に使える漆器が種類豊富に並んでいます。「ここのものなら、買えるかも…」とミモロ。
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「あ、象のデザインがある…やっぱり『象彦』なんだぁ」と、ひとりで納得。象が大好きという社長に、ふと親近感を覚えるミモロです。
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*繊細なイメージの京漆器ですが、そもそも漆器は、実に丈夫で使いやすいもの。熱伝導が遅い素材ですから、熱いものを入れても、いつまでも温かく、また手に持っても、熱くありません。ミモロは、汁ものだけでなく、ご飯も漆器のお椀を使います。「その方が、食べ終わるまで温かいんだものー」と。そして、洗う時は、一番最後に。他のガラスや陶器などと一緒に洗うのは避けています。ミモロが使うスプーンは、漆器のもの。口当たりが優しく、熱いもので唇をやけどすることもありません。
日本の食と共に歴史を刻んできた漆器。陶器がCHAINAと呼ばれ、漆器がJAPANと呼ばれるほど、日本のものづくりを代表する品。そこに描かれる蒔絵の意匠は、使う人の幸せを願うものばかり。
食べること…そこに感謝と幸福を感じさせる…それが漆器のもつ温もりと魅力なのでは…。
*『象彦』京都本店 京都市左京区岡崎最勝寺町10 電話075-752-7777 営業時間:9:30~18:00 水曜休み
『象彦漆美術館』開館時間10:00~17:00 水曜休館 「象彦 西村家の雛人形と雛道具展」は、4月3日まで。入館料300円。詳しい情報はホームページで
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