平安神宮の北西にある剣道の殿堂「武徳殿」。毎年5月の連休に4日間にわたり開催されるのが、最大規模の剣道大会の「全日本剣道演武大会」です。明治から始まるこの大会は、最も伝統と格式ある大会であり、そこに出場できるのは、錬士六段以上の腕前が必要。まさに剣道家、憧れの大会です。

初めて剣道を見るミモロは、すっかりその雰囲気が気に入ってしまいました。「近くだから、4日間通っちゃおうかな…キリッとした感じが会場内に漂って、なんか見ている方も心が引き締まる感じ」と。
会場の「武徳殿」は、重要文化財で、重厚さあふれる造りです。大会では、約1分45秒間の立ちあいが次々に行われ、剣道特有の高めの声と打ち込む竹刀の音が、会場内に響きます。
日の丸の国旗と松の盆栽が飾られた正面には、全日本剣道連盟の大会会長をはじめ役員がズラリと並び、次々に繰り広げられる演武を見守ります。

この「武徳殿」は、剣道のために、明治時代に建てられた建造物。長い歴史を経た床は、何度も張り替えられたのでしょう、板の色もまだらです。

「剣道の大会は、武道館や各地方の体育館などの施設で開催されますが、ここは剣道のための建物だけに、床は、実に足馴染みがいいし、踏み込みやすい。また竹刀の音も、実にいい響きです」と、ここに出場なさった方。確かに、球技大会も開催される体育館とは、根本から構造に違いがあるよう。
「この床に立つのが、剣道をする人の憧れなんだね…」と、ミモロは、演武が終了した「武徳殿」の床に。

熱気が鎮まった会場には、静かな時が戻ります。
さて、大会開催中、敷地内には、竹刀や防具をはじめ、さまざまな剣道用具を販売するテントが…。なにせ、剣道のすべてが初めてのミモロは、どの品も興味津々。防具や竹刀の製作の実演もしっかり見学。


初めて身近で見る竹刀に、ミモロは、恐る恐る手を伸ばします。

竹刀の材料の主流は、真竹。中国産の竹よりも、やはり国内産が人気です。特に京都の真竹は、上質だとか。竹刀が、剣道の修練において、その使用が普及したのは、幕末の頃から。千葉周作が道場で使ったという話も…。
さて、竹刀は、4つの細く整えられた竹を組み合わせて作り、持ち手近くが、やや膨らみ、先端へと細くなってゆく形です。
「どうして途中が膨らんでるの?」とミモロ。
その部分で、打ち込んだ時、手に伝わる衝撃を吸収できるんだそう。また、竹刀は、打ち込んだ時の跳ね返りが早く、相手への衝撃も軽減できるという利点もあるとか。
現在、剣道で使われる竹刀のサイズには、厳しい規定があり、一般(高校生以下を除く)は、男女の別なく120センチ以下。重さは、男子は510グラム以上、女子は440グラム以上と決められています。この規定の範囲内で、自分に合ったバランスの竹刀を選ぶのだとか。
竹刀を見ていたミモロに、「それは、ちょっと大きすぎますね、こっちがピッタリなのでは…」と東京神田にある「共栄武道具」のお店の方。


次にミモロが覗いたテントは、防具を扱う東京池袋の「建武堂」です。
ミモロ、なにしてるの?


「あのー剣道の防具って初めてで、ちょと触ってもいいですか…」とミモロはお店の方に。「どうぞ、つけてみて下さい…」と優しい笑顔のお店の方。

まずは、胴を。

次に、面をつけることに。

「前は、見えるけど、横がよく見えない…」と。

「でも、やっぱり面ってすごく重いよー」とミモロ。竹刀で勢いよく「メーン」と大きな声で打ち込まれる場所ですから、頭の上の部分は、ヘルメットのように頭部を保護し、衝撃を吸収する素材が入っていますし、肩を保護するよう使われる生地も厚くしっかりしたもの。
「実際、面打ちをまともに受けると、すごい衝撃ですよ。上手な人ほど、打つ強さの加減ができますが、それができないレベルの人だと、ホントに痛いですね。若い子なんか、力いっぱい打ち込みますから、たまりません…」と、ある出場者。「やっぱり痛いんだー」
剣道を初めて見たミモロは、「なんかいいなぁー」と淡い憧れを抱いたものの…「でも、いくら軽量化されても、全部の防具をつけたら、動けないし…練習厳しそうだしー」と。そこを機敏に動けるよう、日々鍛練することが大切なんです。「ふー」とため息が…。
「やっぱり剣道は、見るだけにしとこー…でも好きになっちゃったから、明日も来ようかな…」と、思うミモロでした。

*初めて見た剣道の試合…さすが国技、日本の文化を感じます。礼節を重んじる姿は、実に清々しいもの。きっと「武徳殿」で見たから、なおさらだったかも…。最終日は、八段の方々が演武を披露なさいます。ぜひ、5月の連休に京都に来たら「武徳殿」へ。誰でも、無料で見ることができます。

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