京都、先斗町で恒例の「鴨川をどり」を見たミモロ。「舞妓さんの結っている髷って素敵だねー」と、うっとり。芸妓さんになると日本髪に結われたカツラを被りますが、舞妓さんの髷は、自分の髪で結います。
そのお手入れに欠かせないのが、つげ櫛です。古くから、日本女性の髪を美しく整えるのに使われてきたつげの櫛。化粧道具としての機能だけでなく、そこにさまざまな思いを込める女性の心を象徴する品でもあるのです。
さて、ミモロがやって来たのは、四条通と新京極通の交差する近くに店を構える、明治8年創業のつげ櫛の「京都 十三や」です。
こじんまりとした大きさのお店ですが、中には、櫛をはじめ、かんざし、髪飾りや小物などが、所狭しと並んでいます。
「わーいろいろな物があって、見飽きないねー」とミモロ。
そもそも櫛は、古代から、邪気を払うパワーがあるものと信じられていました。古事記でもイザナギノ尊が、鬼に追われて黄泉の国から逃げる時に、櫛の歯を折って鬼に投げつけたという話も…。
昔から、常に女性たちのそばにあって、髪をとかすという行為そのものが、きっと身に纏わる邪気を払うという思いで行っていたのかも…。
「そう、風水でも、いつもキレイに身を整えておかないと、いいパワーがもらえないんだってよー」と、ミモロは、どこかで聞きかじった知識を…。
「どうして『十三や』さんっていうんですか?」とミモロは、五代目の店主、竹内伸一さんに尋ねます。
「それはね、櫛のく=『九』とし=『四』をたして十三になるでしょ。だから『十三や』。つまり櫛屋ってことなんです」昔の人の洒落た言葉遊びから生まれた屋号です。「なるほど…」
『十三や』が作るつげ櫛は、鹿児島の指宿産の樹齢30年以上の良質のつげ原木を厳選し、製材、燻蒸して10年以上寝かせ、狂いのない最良の櫛の素材となったものだけを使い、櫛にしているそう。
京都に古くから伝わる、一本一本の櫛の歯を削る緻密な加工技術を、今に受け継いだ職人さんが、丹精込めて作る櫛です。「すごい技術だよねー」とミモロは、改めてつげ櫛を見て感心しきり。
「つげ櫛は、とても髪や地肌にやさしい素材なんです。静電気が起きませんから、髪へのダメージが少ないんですよ。頭皮にも優しい感触で、気持ちいいですよ。また椿油などを浸み込ませ、長年愛用されると、櫛は飴色になり、梳かすと髪にツヤが出てきます」。
つげ櫛のお手入れは、1か月ごとに、1~2日ほど椿油などに漬けて、櫛に十分油を浸み込ませること。すると櫛自体の汚れにくくなるそう。
「うーん、つげ櫛は、一本数千円するものも多く、ちょっと高い気がするけど、髪のためによくって、しかも大切に使えば一生もの…こういう毎日使うものにこそ、上質のものを使うと、きっと髪も心も豊かになるね」とミモロ。
お店の壁には、さまざまな大きさや形の櫛が展示されています。
「わー細かい歯…ホントいろいろな櫛があるんだね」。京都のつげ櫛は、人間だけではなく、雛人形の髪を整える職人さんが使うものなども…。
「こんな櫛は、お客様にぴったりかも…」とミモロの前には、小さな櫛が。
「えーこれも手づくり?スゴイ…」
店内には、櫛のほかに、つげの素材を使った小物も種類豊富。
動物の形のかわいいブローチ。
干支の根付けなども。
お土産にしたくなる品々です。「お友達にプレゼントしようかな?」と龍の根付けを手に取ります。
「これは自分へのプレゼント…」と見つけたのは、大好きなウサギの形をしたブローチ。
つげの製品以外に、今や貴重な本べっ甲の髪飾りなども。洋装にも似合う洒落た雰囲気の髪飾りです。
「かわいい?」とミモロ、小さな花飾りをつけて…。女の子が好きそうなかわいい品もいろいろ。
最近、髪が少なくなったとか、細くなったという方は、髪や頭皮にやさしいつげの櫛を、ぜひ…。
*「十三や」京都市下京区四条通寺町東入ル13 電話075-211-0498 営業時間:11:00~20:30 無休
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