「京都に暮らすんだから、京都の文化をいろいろ体験したい!」と思うミモロは、ある日、「狂言小舞」を習いに北野天満宮の近くにある「平野の家 わざ 永々棟」で開催されている「狂言小舞講座」に参加します。

狂言小舞は、狂言の酒宴の場面などで舞われる短い舞。その所作のほとんどは能の舞とよく似ています。
この講座の講師の木村正雄先生。代稽古をしてくださるのは、祇園「津田楼」で古筆の講師もなさっている元狂言師の柳本勝海先生です。
舞う演目のストーリーを伝える小謡をまず練習したミモロは、次にいよいよ立って所作を学びます。
はじめに参加した生徒さん達といっしょに、何度か先生の所作をマネします。

「歩くときは、すり足で…。体を上下させないで、そのまま空間を移動するイメージですよ」と柳本先生。

小舞の所作は、静と動のメリハリがきいていて、静止したまま扇をゆっくりと動かしたり、舞台をサササと滑るように移動したり…。

「あれ?よくわかんなくなっちゃたー。うーみんなに付いてゆけない…」と、ミモロはお座敷で右往左往。
小舞の所作は、バレエやタンゴなどと違って、最小限の動きで、そこに込められた感情を表現します。わずかな顔の上げ下げ、手の動き、体の向きなど…研ぎ澄まされた動きです。
「わー動きが少ないから、かえってむずかしいねぇー。ひとつひとつの動きに神経を集中させなくちゃ…。でも動きに気を取られると、小謡がわかんなくなっちゃうー」と、初めて小舞に挑戦したミモロは、つい動きが止まってしまいます。
何度かみんなで一緒に所作を練習したところで、「では、ひとりずつやってみましょう」と先生の声が。
「えーひとりで舞うの?どうしよう…」先輩の生徒さんたちが、次々に舞うのを見て、ミモロは不安に…。
「大丈夫ですよ、いっしょに舞いますから…付いてきてくださいね」とやさしく先生の声が…。
まずは、ゆっくりと立つところから…

ミモロは、一生懸命、先生のマネを…。
「扇を掲げて…」

「ハイ、次はそのまま進んで…」

「次は、向きを変えて…」

しっかり構えて…

なんか、次第に様になってきたミモロの所作…意外にミモロは、すり足が上手…。

小さなミモロにとっては、大きな舞台…他の生徒さんより、歩く距離が長めに。
「体が小さくても、大きく見えるように、体の軸をしっかりさせて、腕の動きはゆったりと…」
「ハーイ がんばりまーす!」必死にがんばるミモロです。
先生の指導が終わった後も、調子にのったミモロは、ひとり勝手に舞っています。
「ねぇ、なんか似てない?このポーズ…」とミモロ。

う?もしかして、上村松園の「序の舞」のポーズ?「ピポーン 正解!」かなり想像力はいりますが、なるほどちょっと似てるかも…。
「先生、ありがとうございました」と、お稽古を終えて、きちんとお辞儀をするミモロ。

「楽しかったー。むずかしかったけど…でもすごく素敵!上手になったら、きっともっと楽しいね!」
*京都には、本当にさまざまな文化講座が、毎日のようにどこかで開催されています。さすが日本文化の本場。そのレベルの高さには感激。この「狂言小舞」も、初めて参加される人が多くいらっしゃいます。日常の雑事を忘れるひとときです。体験を望まれる方も、ぜひ…一度、覗いてみてはいかがでしょう。自分で上手に舞えるようにならなくても、能や狂言を鑑賞する目がグッと変わりますよ。
京都に暮らして1年。小舞までできるようになったミモロは、確実に成長しているみたい…。これも京都のみなさまの御かげです。改めて感謝…。ミモロは、しあわせです。
さて、ミモロが習った「狂言小舞の講座」は、
毎月第2・4月曜の13:00~15:00 講師:木村正雄先生(代稽古:柳本勝海先生)会費:1回2500円 会場は、「平野の家 わざ 永々棟」で。電話075-462-0014 こちらでは、他に古筆の講座なども開催。詳しくはホームページをご覧ください。

人気ブログランキングへ
ブログを見たら、金魚をクリックしてね