ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」のライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。心和む雑誌のようなブログ

神官たちの家が連なる、上賀茂神社の社家町。神官の格式ある暮らしを偲ばせる「西村家庭園」

2012-09-22 | 歴史・史跡

上賀茂神社そばの「今井食堂」で美味しいサバ煮弁当を食べたミモロは、「ちょっとお散歩しよう」と、神社周辺の散策へ。

上賀茂神社の鳥居の前から、東に続く道沿いは、神社に仕える神官たちが、家を構えた「社家町」と呼ばれるエリアで、土塀が連なる落ち着いた雰囲気が漂っています。
かつてこの地域には、約300ほどの社家住宅があったそう。18世紀の絵図にも148戸が見られ、現在は、20戸ほどが、かつての趣を留めています。

「キレイなお水の川が流れてるー」とミモロ。
家の前には、幅3メートルほどの明神川が。これは、神社の境内を流れる清流「ならの小川」が、名を変えたもの。この水の流れを家に取り入れ、そして、また元に戻すのが、社家エリアのルールとか。

道から各家にはいるために設けられた石の橋が、独特な情緒ある景色を作っています。

この景観は、昭和63年に「重要伝統的建造物群保存地区」に選定され、その中で、一般公開されているのが、「西村家庭園(旧錦部(にしごり)家)です。

石橋を渡り、中に進むと、生垣が続く庭園が…。

この家は、かつて社家の錦部家と西池家の旧宅で、明治になり、西陣で織物業を営む西村家八代目の清三郎が、別邸として購入。古くから残る庭の風情を残し、家屋を建てたところです。

実は、このお庭、現存する社家の庭園の中でも、最も古い面影を留めるもの。
養和元年(1181)上賀茂神社の神職の藤木重保が作庭したと伝えられるお庭です。

木々が茂る庭内には、明神川から水を引き入れ、「曲水の宴」を行うための小川が庭を流れています。また、正面には、上賀茂神社のご神体の御山である神山を象った石組み、神事の前に身を清める井戸なども配されています。

「あれ?ここのお家は、上賀茂神社の方を向く北側が表向きになってるー」とミモロ。
多くの家が、南側の日当たりのいい方向に開けていますが、ここは、神社のある方角、つまり北側に縁側などが配されています。「きっと神社にお尻を向けないようになってるんだねー」と、ひとり納得しているミモロです。

また樹木は、南に向かい、葉を広げるため、北に庭があった方が、樹木の姿は、美しいとも言われます。

さて、南側の庭を覗いてみると、こちらもなかなか広い庭。真ん中に見える井戸は、生活に使った水を流すためのものだとか。穢れは、南側に集約し、そこから別の小川に流すようになっているそう。

あくまでも神社のある方角を清らかなものにしておく社家らしい構造です。

明治に建てた家屋は、茶室などを備えた趣ある建築美を誇ります。


また、東側には、池の庭という池泉回遊式庭園も。

「鯉もいるよー」とミモロ。

「なかなか風情あるお庭と建物だったー」
と見学を終えたミモロは、上賀茂神社へと戻ります。

神社への参拝を終えた頃、空をみると、なにやら黒い雲が低く垂れこめています…
「急いで帰らなくちゃ…きっと雨が降るねー」と心配そうに空を見上げます。

最近、京都は、突然、局地的に雨が降り出すことが多く、青空が見えるのに、すごい雨降りということもたびたび…。傘を持ってこなかったミモロは、慌てて家路へと向かいました。

*「西村家庭園」京都市北区上賀茂中大路町1 電話075-781-666 拝観期間:3月15日~12月8日 この期間無休 9:30~16:30 拝観料:500円


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