ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」のライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。心和む雑誌のようなブログ

多くの文人たちが愛した味。すっぽん料理「大市(だいいち)」。円やかで、深い味わい

2012-09-14 | グルメ

夏バテ解消のために、ミモロが訪れた すっぽん料理の老舗「大市」。
330年、スッポン一筋に歩んできた専門店です。

歴史漂う店内を見て回った後、ご主人の青山さんの案内で、特別にスッポンがいる場所へ。
砂場のような中にいるスッポンを、ご主人が捕まえて、ミモロに見せてくれました。

「わーこんな近くでスッポン見たの初めて…」と、目を真ん丸にしてジッと見つめるミモロです。「それ以上近づいちゃ危険ですよ。スッポンに噛みつかれると怪我しますからねー」と。


「ちょっとコワイ顔ー」。スッポンの歯は、ギザギザではなく、口の中にカーブした歯がある感じ。一度噛まれると、なかなか放さないことでも有名。ミモロ気をつけて…。

「うちで扱うスッポンは、静岡県の浜名湖で養殖されたもの。その業者さんとは、100年以上の付き合いです。50mほどのプールのような養殖池が18個あり、そこで大切に育てています。店で使うのは、卵から孵化して4、5年たったもの。脂、肉などが最も美味しい時期のスッポンだけを使っています。スッポン料理に使うものは、大きければいいというものではありません。また、どういう環境で育つかが、肉の美味しさや臭みに大きく関わってきます。よく天然ものがいいと思われがちですが、雑食のスッポンが、現代の自然環境の中で、どんなものを食べているか、それを思うと、うちでは、天然ものは扱えません。」と、ご主人。

「すごく手間を掛けて、大切に育てられてる特別なスッポンなんだねー」

一見、大きなスッポンですが、甲羅は、意外と小さ目。甲羅の周りには、プルプルとした肉がついていて、それによりサイズが大きく見えます。そのプルプルした肉にもコラーゲンがいっぱい。「亀とスッポンって、よく似てるみたいだけど、よく見るとかなり違うんだー」と、間近で観察したミモロです。


「ここには、どうやって運ばれるの?水の中に入れて来るの?」と、ミモロには新たな疑問が浮かびました。
「ここには、藁に包まれて来るんですよ。大人しくなるツボみたいのがあって、動けない状態にして、体が傷つかないように、藁に包むんです。スッポンは、とても臆病な生き物で、だから噛みついたりするんです」
ご主人が手にしたスッポンを、再び砂場に置くと、スッポンは、一目散に砂の中に潜ってしまいました。

スッポン観察を終えて、再び店内へ向かう途中、鍋がいっぱい置かれた場所を通りました。
「これがスッポン鍋のナベ?」「そう、信楽焼の特注品。猛烈な火力で熱するため、普通の鍋では、持ちません。昔から、うちの店のために作ってもっているんですよ」

「猛烈な火力?スッポン鍋って、卓上コンロで煮ながら食べるんじゃないの?」と、ミモロは、ご主人の言葉がよく理解できないよう・・・。

お部屋に入る前に、ミモロは、調理する台所を見学することに。

京町家特有の縦長のスペースに、レンガでできた頑丈そうなコンロが並んでいます。
「なんか普通の台所と違う感じ…」とミモロ。
「まずは、火をおこすことから…」

炭で火を起こし、次にコークスへと火をうつします。パチパチと火の粉があたりに…。
火が付いたコークスの上に、すでに下準備がなされた鍋をのせます。

それから、コンロの下から、電気で動くフイゴで、風をコンロに送ります。すると…。
「わースゴイー火がボウボウ…」
「1600度以上の火で鍋を温めます。ここでは、最終的な味を調えます。使うのは主に醤油だけ」。
お客様が、お部屋で最上の味を楽しめるよう火にかける時間を見計らいます。
数分後、「さぁ、もういいでしょ」と、ご主人が鍋を火から持ち上げます。

「エエー。鍋の底が真っ赤ー。こんなの見たことない…」とミモロはビックリ!

客室では、コンロは使わず、余熱だけで十分なのだとか。


あまりに猛烈な火力のため、しばらく使うと右の鍋底に。
「凄すぎる…鍋の釉薬も溶けてる…」「鍋は、しばらく使うと割れてしまいます。だから常にたくさんの鍋を準備しているんですよ」と。

「さぁ、部屋で味わってください」との言葉に、急いで部屋に戻るミモロです。

「わー美味しそう…」
ゴロゴロとぶつ切りにされたスッポンの肉が、スープの中に。

「いただきまーす。フーフー」と、息を掛けながら、アツアツのスープを一口。

「美味しい!スッポンの臭みが、全くない!なんて円やかなお味なんだろー。お肉もプルプルで、口の中で溶けるよう…」
「今まで食べたことがない美味しさ」と、感激しながら、鍋に残るスープもすっかり飲み干します。

ここでは、2回にわたり、同じスッポン鍋が登場。常に美味しい最高の味が楽しめるようになっています。

そして、最後に「まだ、食べられますか?」と、ご主人が、ミモロの前で、スッポンスープを使った卵雑炊を作ってくれました。
「もちろん!わー嬉しい!」と、ミモロ。スープの中には、お餅も入っていて、それが雑炊にとろみをプラスします。
「そんなに好きなの?」と、あまりに喜ぶミモロを見てご主人。

「ハイ、鍋の最後の雑炊、大好物でーす」と、待ちきれない様子のミモロ。

「さぁ、できましたよ。どうぞ召し上がってください」と、ミモロの前には、出来立ての雑炊が。
「雑炊は、別腹…もうたまらない美味しさー」と、もちろんペロリと平らげます。

歴史あるすっぽん料理店「大市」は、志賀直哉の「暗夜行路」、川端康成の「古都」などにも登場。数多くの文人たちが、その味を求めて、訪れた店です。

食べ終わったミモロは、「なんか体が芯から温まって、血の巡りがよくなったみたい…。きっと明日は、お肌もスベスベだと思うよー」と、夏バテも解消に、軽やかな足取りで店を後にしました。

*旅のポイント
冬に人気のすっぽん鍋。でも、今のように夏の終わりの体力消耗の時期にこそ、食べておきたい滋養鍋です。「他のすっぽん鍋とは、全く美味しさが違う…。体が、本当に調子よくなる」との声も。旅の疲れも解消する鍋です。



*「大市」京都市上京区下長者町通千本西入ル六番町 電話075-461-1775
営業時間:12:00~13:00LO 17:00~19:30LO(冬季は、17:00、19:00入店の2部制)火曜休み 昼夜ともに「すっぽん鍋コース」のみ。ひとり23,000円
要予約。 スッポンを使った品々の通販も。詳しくはホームページで




人気ブログランキングへ
ブログを見たら、金魚をクリックしてね
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする