空也、法然、親鸞、栄西、道元、日蓮、一遍など、日本の仏教の開祖を育てた「比叡山延暦寺」。伝教大師 最澄が、開創した日本仏教の聖地です。
京都の町を見守るように聳える比叡山。その山に作られた延暦寺の中心的存在が、東塔の「根本中堂」。
杉木立の森に抱かれるように立つ建物です。
「なんか不思議な感じがする…」とミモロ。「だって…今まで見てきたお寺の本堂って、山の中でも、一番見晴らしがいい場所など、高い場所にあるでしょ?でも、ここは、なんか谷にある感じ…。もっとバーンとしたとこだと思ってた…」と。
確かに、大きな建物ながら、周囲を山で守られているような、ひそっりとした静かな感じ…。
延暦寺山内で、最大、また滋賀県内でも最大規模の仏堂で、国宝であり、世界文化遺産に指定されている建物です。
さぁ、「根本中堂」の中に入りましょう。
残念ながら、ここからは撮影ができません。ミモロのお話で想像してくださいね。
伝教大師、最澄は、近江の国(滋賀県)に生まれます。延暦4年(785)12歳の時、東大寺戒壇で受戒し、僧侶となり、同年、仏教修行のため、比叡山に入り、草庵をむすびます。
そして延暦7年(788)に自ら刻んだ薬師如来像を安置する、堂を創立。これが比叡山延暦寺、根本中堂のはじまりに…。
「えー12歳で僧侶になって、17歳で根本中堂つくったの?スゴイねー。ここは、滋賀県最大の御堂でしょ?でも、そんなに大きな感じがしないねー」と、いいながらお堂の中に進むミモロ。
そう、深い谷にあり、周囲を杉木立に包まれた「根本中堂」は、一見、それほど大きな建物ではなさそうな感じがします。
最澄亡き後も、歴代の僧侶が教えを受け継ぎ、修行を重ねた建物は、何度も増改築をされて行き、平安時代には、現在の建物の元となる十一間の檜皮葺という建物に。
ところで、比叡山といえば、元亀2年(1571)の織田信長による焼き討ちで、全山焼失。その後、60年経ち、徳川家光により復興が始められ、寛永19年(1642)に現在の建物が完成します。
「根本中堂」の建物は、独特で、僧侶や参拝者のための外陣。そして御本尊などがいらっしゃる内陣からなる建物です。
外陣から、内陣を覗くと…「わースゴーイ…荘厳で、神秘的…なんか特別な場所…」と、ミモロは、ただ目を見張ります。
一見、それほど大きく感じられなかった建物には、外からは想像できな別世界の空間が広がっています。
内陣は、参拝者が控える外陣から、3メートルほど低い場所に。そして、参拝者の目の高さに、御本尊のおいでになる厨子が…。つまり、深く掘り下げられ、ロウソクが灯る薄暗い闇が包む内陣。その闇の向こうに、御本尊の厨子が、輝くように浮かび上がって見えるのです。
「わーわー…」もう、ミモロは、言葉になりません。「こんな場所、見たことない…スゴ過ぎるー」と、もはや感動に震えています。
御本尊の薬師如来像は、最澄の自作と言われ、秘仏で、開帳されることはないそう。延暦寺でお努めをする僧侶ですら、見たことがないとか…。
「焼き討ちの時にも、きっと僧侶たちが、命がけでお守りしたんだよねー」と、目にすることができない秘仏に、思いを馳せるミモロです。
現在は、秘仏の前に御前立の薬師如来像が、金色色に輝いていらっしゃいます。両脇には、月光、日光菩薩様。
この菩薩像により、薬師如来のパワーを24時間発揮するという意味が生まれるそうです。
また十二神将もおいでになるそうですが、これは拝むことはできません。
御本尊の厨子の前の灯は、『不滅の法灯』という開創以来、1200年に渡り光り続ける灯りです。
「この灯りって、1200年以上も前のものなんだー。オリンピックの聖火よりスゴイ…」
オリンピックは、開催ごとにアテネで灯すもの。全然比べようもありません。
御本尊の前の厨子を照らす「不滅の法灯」の光は、堂内の参拝者にも注がれるよう…。ミモロの顔も微かに輝いて見えます。
次々に訪れる参拝者。「まだ、今日は空いてるんだって…」と、ミモロは、団体で訪れる参拝者の波が切れた時を見つけては、静かに、内陣の薬師如来の厨子を拝みます。
最澄が、薬師如来をお祀りしたのは、人々のあらゆる病を癒すため。体の病気、そして心の病など、人々の苦しみを救うため…。そのありがたさに、ただただ手をあわせたくなります。
「1度のお詣りでは、ただ圧倒されて…。また、来なくちゃ…」と思うミモロです。
さて、参拝を終えて、山の上にある文殊楼へ。
「わーすごく急な階段…」傾斜角度、30度はありそうな石段が続きます。
「ふーやっと到着…」
この中も拝観できますが、撮影は禁止…。この中の階段は、まるで梯子のよう…。楼上には、文殊さまがお祀りされています。
「ここ、なんかパワーを感じる…」パワースポットに敏感なミモロ。そばの杉の切株へ。
苔むした大きな切株。そばには小さな芽も出ていて、命の継承を感じます。
駐車場に戻る途中、「大黒堂」の前へ。ここは、大黒信仰の発祥の地との解説が。中には、「三面出世大黒天」という、大黒天、毘沙門天、弁財天が合体したお姿の大黒天が祀られています。
「ここでお願いすると、1度にたくさんのパワーがもらえちゃうんだー」と、しっかりミモロも参拝を。
深い比叡山の森。はるか遠くに、京都の町も…。
「あのーお腹空いたー」と、ミモロ。わかりました…はい、どうぞ…。
駐車場のそばの休憩所でおそばを…。
このそばは、坂本に本店を置く、創業280年という老舗「鶴喜そば」の比叡山店。ミモロが注文したのは、「比叡山そば」730円。山菜、とろろなどが入った温かいおそばです。
「なかなか美味しい…ここで老舗のおそばが食べられるって思わなかった…」と、もちろん完食。
東塔エリアだけでも、まだ全部見ることができませんでした。
ここで、見逃せないのが、「国宝殿」。五大明王像、薬師如来坐像など、重要文化財の仏像を拝見できます。ぜひ、お見逃しなく…。
写真撮影ができなかったので、その感動が伝わったかどうか…。でも、ぜひご自分の足で、この日本仏教の聖地へ。
そこには、言葉では、伝えられない、歴史と人々の思いが、満ちています。
*「比叡山 延暦寺」の詳しい情報は、ホームページから。
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