山科の清水焼団地にある創業120余年の京焼・清水焼の窯元「雲楽窯」に、工房見学にやってきたミモロ。


雅な趣味の器である京都の焼き物に、しばし見惚れる時を過ごします。
昨日リポートした茶器づくりに続き、今日は、急須の成型を見学します。

「では、始めますよ」と、ろくろの経験豊富な小川さんが引き続き実演を・・・。

いよいよ急須づくりが始まりました。
「急須の形が、茶碗などと違うのは、口の部分が狭まって、胴の部分に膨らみがあること…」


次に、口の部分。蓋が乗るように、鹿革を使い、整えます。


「柔らかくて、きめの細かい鹿のお腹の部分の革を使うんですよ」と。思わず自分のお腹を押さえるミモロです。
「わー不思議…あっという間に口の部分ができて、丸い胴ができちゃったー」。
そして、蓋の部分の成型に移ります。

「今日は、見学用なので、正確ではありませんが、こんな感じに…」

蓋、注ぎ口、茶こし、取っ手の4つの部分を胴体と組み合わせる急須、次は、注ぎ口の部分です。


「これは、器と違い底を付けません。だから小刀で粘土から外します」
「ホント、向こう側が見える…」

「急須は、お茶の葉がでないように『茶こし』部分が必要ですね」と、胴にクルリと穴をあけ、そこに見学用にすでに作られていた茶こし部分をはめます。

「ヤカンの湯が通る部分は、ヤカン本体に穴が開いていますが、急須の場合は、盛り上がった形のものを取りつけます。半球状になっているのは、茶葉が詰まりにくいようにと、昔から工夫されたもの」
それから、注ぎ口の部分を、指で曲げ、胴体にぴったりするように、斜めに切り取ります。

それを同じ粘土で密着させます。注ぎ口の先端部分もお茶が注ぎやすいように、斜めに切り取ります。
「注ぎ口の高さは、蓋の縁とほぼ平行の高さに。下だと、お茶がこぼれてしまいます。また反対に上だと、注ぐ時、蓋の部分からお茶がこぼれたり、蓋が落ちたりしやすくなります」と。
「確かに、下だと、お湯を注いでいる内に、お湯が口から出ちゃうかも…」
取っ手も、ろくろで成型したものを使います。
「日本の急須は、取っ手は、注ぎ口に対し、直角に近い部分に取り付けます。これは、手首の動きに合っているもの。注ぎ口から右側にあり、これは日本人のほとんどが右利きだからです。西洋のティーポットの取っ手は、注ぎ口の反対側にありますよね。右利き、左利きにこだわらないからだと思います。日本では、ヤカンのように、蓋の上を横断するような竹などでできた取っ手をつけた急須もあります。その場合には、蓋の両脇に、取っ手を付ける部分を作り、接着させます」
「なるほど、注ぎ口に直角に取っ手があるティーポットって見たことないかも…」
突然、小川さんが成型したばかりの急須の胴を切断。


「へー急須の形って、すごーく考えられたものなんだー。形に無駄がない、まさに機能美。お茶を美味しく飲みたい…っていう人たちの思いが、この形になってるんだねー」と、改めて急須を眺め思うミモロです。
清水焼のベテラン職人の手は、すべてをいとも簡単にこなします。「なんか簡単そう…」と見ている人に感じさせるほど、スムーズに進みます。これは熟練した職人さんだからできる技。「同じ形のものを均一に、しかも短時間でできるかが職人の技なんですよ」と。何年にもわたり、数えきれないほどの器をつくることで、職人さんは体で技を覚え、職人としての手が出来上がります。「職人さんの黙々と作業する姿ってカッコイイ!」と、いつも職人さんに会うたびに思うミモロです。
日本の文化・産業は、芸術家や実業家だけが作ったのではありません。多くの職人さんたちがいたからこそ生まれたもの。京都に暮らすと、ものづくりの職人さんたちと出会う機会に恵まれます。「東京では、ほとんどなかったもの…」とミモロ。
見学も終わった頃、「楽しかったですか?」と、工房の娘さんである西澤さんご夫妻。

「お茶をどうぞ…」

京都に来たら、ぜひ工房見学をしてみては?京焼・清水焼がもっと好きになります。
*「雲楽窯」の詳しい情報は、ホームページから…。工房では、ろくろ、手捻り、絵付けなどの体験教室も行われています。

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