1月15日は、小正月。この日、京都では、邪気を払い、万病を防ぐ願いを込めて、小豆粥を食べる習慣が…。ミモロもお友達が作ってくれた小豆粥を頂きました。
「小豆がいっぱい入っていて、美味しい…」味わうごとに、口の中に、ほんのりと甘味を覚えるやさしい味。年末や正月で疲れた胃腸にやさしい一品です。
さて、一週間前の寒く、冷たい雨が降る1月8日の夜。ミモロは、三条新京極を少し南に行った場所にある「誓願寺」へと向かいました。
ここは、浄土宗西山深草派総本山。創建は、なんと飛鳥時代とか。天智天皇の勅願によって創建され、もともとは奈良にあった寺を、鎌倉時代に京都の一条小川に移転。天正19年(1591)に豊臣秀吉の寺町整備により、現在の場所に。
「そういえば、上京区の西陣エリアに元誓願寺って地名がある…」と、思い出したミモロです。
平安時代後期に、法然上人により浄土宗のお寺に。
江戸時代の記録では、表門は寺町六角、北門は、三条通に面した6500坪の広い境内があり、塔頭も18か所、さらに三重塔も聳えていたとか。幕末、蛤御門の変で、焼失。焼野原になった京都の町に、明治5年、当時京都府参事の槇村正直は、町復興の意味から歓楽街を計画し、新しい道を作ります。それが、現在の新京極通です。
誓願寺は、その計画により、境内の大部分を没収されてしまいます。京都の町の中心部にあったこの寺は、なんと過去10回もの火災に見舞われ、そのたびに信者などにより再建。今は、昭和39年に作られた、火災や災害に強そうな鉄筋コンクリートの本堂に御本尊の阿弥陀様は、いらっしゃいます。
またこの誓願寺は、『女人往生の寺』として知られる女性の強い味方。平安時代は、清少納言、和泉式部が帰依。秀吉の時代には、側室の松の丸殿が帰依しています。
女性を極楽浄土へ導くお寺として、現在も多くの女性の参拝が絶えません。
現在のお寺は、かつてあった大きな門もなく、新京極通から、本堂が見え、入りやすい構造に。
この日、ミモロが誓願寺にやってきたのは、京都のおもてなし大使である池田寿子さんのお誘いで。新京極に明治19年から店を構える文具店「池田屋」の五代目女将で、京都らしさあふれるさまざまなイベントの企画などを手がけていらっしゃいます。「ミモロちゃん、ようこそ…」と笑顔のお出迎え。
この日、本堂では、オペラ歌手の花月真さんの「新春 念仏コンサート」が、池田さんのプロデュースにより開催。
本堂に上ると、御本尊の前に、ずらりと椅子が並び、すっかりコンサート会場に。「念仏コンサートってなんだろ?」ミモロは、興味津々で、一番前の席に座ります。
池田さんのご挨拶とお話の後、タキシード姿の花月真さんと、この日の伴奏を担当するピアニスト、日比野敏彦さんが登場。いよいよコンサートの始まりです。(コンサートは、撮影できなかったので、想像してください…)
オペラ歌手の花月真さんは、二期会のメンバー。日本を代表するオペラ歌手として、国内外の200公演以上で、重要な役を演じるバス歌手です。「愛・地球博 記念ガラコンサート」などで、絶賛されるなど、その低く重厚感あふれる歌声が多くの人の心を捉えてやみません。
この日も、オペラ「フィガロの結婚より」『もう飛ぶまいぞこの蝶々』や『オーソレミヨ』、スケートの荒川静香さんで一躍注目されたプッチーニ作曲の歌劇「トウーランドット」より、『誰も寝てはならぬ』など、通常テノール歌手が歌う曲目も、艶やかで重厚なバスの声で、歌い上げます。本堂に響き渡る声に、「すてきー」と、ミモロもうっとり。
さて、このコンサートの聞きどころは、オペラなどの演目だけではありません。それは「仏教讃歌」。お念仏につながる歌詞を、讃美歌のような美しいメロディーでうたいます。「こんな曲、初めて聞いたー」と、はじめちょっと戸惑うミモロ。でも、その美しく親しみやすい旋律に、心癒されてゆきます。
「なもあみだぶつ…」で始まる『念仏』という歌を、花月さんの指導で、参加者全員で歌います。「お経もいいけど、こういうメロディーつきの仏教の歌も親しみやすくていいねぇー」と、ミモロも一緒に大きな声で歌います。
花月真さんは、実は滋賀県の「西来寺」という浄土真宗のお寺の副住職でもあるのです。「だから世界で唯一のオテラ歌手なんですよ」と。全国各地で、「念仏コンサート」のツアーを展開。また毎月、西来寺では、オペラの演目と共に、仏教讃歌が聞ける「念仏コンサート」が行われていて、誰でも無料で参加できます。「カンタータ歎異抄」「念仏」「いのち」など数多くの仏教讃歌は、CDでもリリースされています。
花月さんが、オペラ歌手になったのは、大学で経済を学び、金融機関に勤務した後という音楽家としてはかなり遅いスタート。最初は趣味でオペラを学びはじめたところ、ほどなくして腕試しで出場した権威ある日本クラシック音楽コンクールで優勝。そしてオペラ歌手ブルーノ・ベラガッティ氏に、その歌声を認められ、イタリアへ。本格的にオペラ歌手として活躍することに…。
オペラ歌手として活躍するには、声のよさはもちろん、容姿や体格のよさも欠かせないところ。大きな舞台で、その存在感を示すオーラが必要です。長身で、がっちりした体格の花月さん。その堂々とした風貌も、バス歌手としての魅力をさらにアップさせているのでは…。
生まれながらの才能に恵まれていたとしても、プロのオペラ歌手として、世界的に活躍するには、並々ならぬ努力がその陰にあったことは、間違いありません。音楽家として、子供のころから音楽一筋に歩んだ人とは異なり、経済界、仏教界とさまざまな世界に身を置く異色の経歴のオペラ歌手 花月さん。僧侶でもあるオテラ歌手の歌声には、人の苦しみ、悲しみ、悦びなどを、表現する深さが漂うよう…。阿弥陀如来像に見守られ、本堂に響く歌声は、コンサートホールでは体験できない特別な思いが募ります。
誓願寺の御本尊の阿弥陀如来座像。もとは石清水八幡宮に安置されていた鎌倉時代ごろ作の木造、寄木造の座像で、明治の神仏分離でここへ。別名「黒阿弥陀如来」とも言われているそうですが、ミモロがこの日、目にしたのは、黄金色に輝くまぶしいお姿。「でも、確かに今は、黒い…不思議~」と。ライトアップされると金色になるのでしょうか。コンサートの間は、ずっと金色の阿弥陀様と思っていたミモロでした。
その阿弥陀様を前に聞く「千の風になって」は、心にしみるよう…。ありがたさもひとしお。思わず目を潤ませるミモロでした。
コンサート終了後「すごく感激しちゃいましたー。また聞ききたいでーす」と、みなさんにご挨拶。
「ぜひ、多くの方に『念仏コンサート』に参加してほしいですねー」と花月さん。きっと思い出深い体験になるはずです。
*花月真さんの情報は、ホームページからどうぞ。
15日の夜、東山には丸い月が、冷たい夜空に煌々と輝いていました。今夜は、満月。阿弥陀様を思い出す金色の輝きに、思わず手をあわせたくなります。
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