ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」のライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。心和む雑誌のようなブログ

平安神宮の花菖蒲。西神苑の池を彩る艶やかさ。中神苑の水面には、睡蓮が花盛りを迎えて・・・

2014-06-10 | 自然

「早くいかないと、終わっちゃうよ~」と、ミモロがせかすのは、『平安神宮』の花菖蒲です。
春は、桜、秋は紅葉の美しい『平安神宮』の神苑は、初夏は、花菖蒲と睡蓮が彩ります。
「わー咲いてる…」ミモロが訪れた月曜日…まだ池の畔には、薄紫、白などの花菖蒲がたわわに花びらを広げていました。
花菖蒲が咲くのは、神苑に入って最初の大きな池。一面、初夏の色に染まっています。
 
「ここのお庭は、何度も来てるから、まぁミモロのお庭みたいなもの…」と、慣れた足取りで庭の中を進みます。
 
池にかかる八つ橋は、花菖蒲を鑑賞する絶好のポイント。
「わ~きれい…」
目の前に広がる薄紫の花たち…。「ホントは、朝早く見ると、もっとみずみずしいんだけどなぁ~」と。神苑が開くのは、朝8時30分から。いつもミモロが、朝のお散歩に、平安神宮へお詣りに来る6時台に、ここに入れたら、いっそう清々しい空気の中で、開いたばかりの花を楽しめるのに…と思うミモロです。

「京都にサマータイムがあるといいのにね~。それに、お寺や神社を、朝早く参拝できたり、夕暮れまで、散策できるよう、開いている時間が、夏だけ長いと、観光客の人喜ぶのにねぇ~」と、つい思ってしまうミモロです。

花菖蒲のそばには、白と紅色の睡蓮が、美しさを競うよう…。
 

「あ、池に花菖蒲が映っている…」池の面に映る花と周囲の木々で、池は、緑色にそまっていました。
  

「もっと睡蓮がいっぱいあるとこがあるよ~」と、ミモロは、本殿の裏の道を足早に進み、東側の中神苑に向かいます。
「ほらね~」
 
すでにカキツバタは、花を終えていますが、池には、睡蓮が花盛りの時を迎えています。
「花が開くとこがみたいなぁ~」と思うミモロは、池をじっと見つめます。

『平安神宮』の神苑は、ミモロにとって、一番身近なお庭。もうこれで4回目の夏を迎えることに…。
何度も訪れるお庭の景色は、日常の見慣れた景色になりました。
 

「でもね、何度来ても飽きないの…気持ちがホッとする…」と。
夏の「平安神宮」の神苑は、訪れる人も、春や秋にはくらべものにならないほど、少な目…。だから、静かにゆっくりと時間が過ごせます。

「ミモロ、静かな夏のお庭も大好きだなぁ~」。
境内に敷き詰められた白砂は、確かに太陽の光を反射して、いっそうまぶしく、強烈に…。そこは我慢して、神苑に入れば、木々が、日陰を作っています。

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京都検定合格者が伝える京の魅力。NPO法人都草の「京都御苑歴史散策ツアー」

2014-06-09 | 体験

京都検定合格者の人たちが、ボランティア活動を通じ、京都の観光文化の振興と、精神性豊かな社会の創造を目指して、8年前に設立されたNPO法人「都草」。観光地や史跡の美化活動、ボランティアガイド、歴史、文化に関する研究・調査、文化・歴史講座の開催など、さまざまな活動を幅広く行っています。
ミモロもメンバーのひとり。(京都検定2級に合格する前から、メンバーで、だれでも入会できます)

週末に、ミモロは、「京都御苑歴史散策ツアー」に参加することに。毎月、開催される散策ツアーで、京都検定1級合格者の方が、京都御苑に関するさまざまな歴史や文化のお話しとともに、御苑内を案内してくれるもの。
 
この日は、メンバーの田村光弘さんと八並都子さんが、ミモロのグループを案内してくださいました。

集合場所は、京都御苑の南西の「閑院宮邸跡」の前。
 
「ミモロちゃん久しぶり…」とメンバーの方。「はい、なかなか参加できなくて…」と、ミモロは、みんなにご挨拶。

歴史散策ツアーは、御苑の中にある歴史的な建物や、ポイントを15か所巡ります。ポイントになる場所では、そこにまつわる歴史的なお話しなどを、わかりやすく解説してくれます。

東山天皇の皇子、直仁親王が創建した「閑院宮邸」でのお話しを聞いて、いよいよ散策ツアーは、動き出しました。
ミモロ、のんびりしてるとおいて行かれちゃうわよ~
「はーい、今行きま~す。だって風が気持ちいいんだもの…」
梅雨の合間の晴れの日曜日、陽射しは強いものの、日陰には、さわやかな風が吹き、涼しい気持ち良い日です。

美しい庭園が残る九條邸跡の「拾翠亭」に向かった一行。
 
四季折々の風情を見せる庭園は、だれでもいつでも見学できる場所。(京都御所、仙洞御所の庭園を見学するには、申込みが必要)
庭の景色を身を乗り出して鑑賞します。「あ、サギがいる…。こっちには亀と水鳥…亀さん、甲羅干しかな?」
 

歴史とともに、京都御苑を訪れる人を魅了するのが、その豊かな自然。周囲約4キロ、面積65ヘクタールの敷地には、キノコ類約400種、野鳥は、年間90種以上、蝶類は、50種ほどが観察できる、まさに町中にある自然の宝庫です。

昆虫、野鳥などが暮らす敷地には、多くの樹木が植わっています。樹齢500年を超す巨木の多さも、御苑の魅力。
「大きい~」
周囲5・8メートルといわれる大きなイチョウの木。みんなで囲んでも、この通り…。

御所の南門は、「堺町御門」。御苑にある9つの門で、唯一南にある門です。「文久3年(1863)8月18日に、この周辺で、「七卿落ち」と『呼ばれる政変がありました…葵祭と時代祭の行列は、この門から街の中へと向かいます…」
 さまざまな興味深い歴史秘話が聞けるのも、このツアーの楽しさ。御所の様子を示した地図など、いろいろな資料で分かりやすく解説されます。

御苑内の大きな道には、日陰がありません。「う~暑い…」。京都御苑見学には、日傘、帽子、水など熱中症対策をお忘れなく。

でも、木々が茂るところは、涼しく、散策には、気持ち良い場所。ツアーも陽射しが優しいところを選んで進みます。そして、ときどきベンチで休憩…。
 

白雲神社、枇杷殿跡、蛤御門などを経て、ミモロたちは、樹齢300年といわれる椋の木のところへ。
 
「あ、小さな実がある…」とミモロ。「この葉は、表面がちょっとザラザラしていて、昔はサンドペーパー代わりに使ったんです」と田村さん。触ってみると「ホント、ちょっとザラザラ・・・」

「はい、ここが御所の正面にあたる建礼門です。ここは、天皇陛下と国賓が来られた時だけ開きます。ほかの皇室の方は横にある別の門から…」
 
「これが、今年、17年ぶりに開門されたときの写真です」
「へーえ、ミモロも見たかったなぁー」と、そんな貴重な写真も…。
「建礼門のそばにあるのが、道喜門で、長い間、天皇にお餅を献上した川端道喜の名がついた、唯一の穴門です…」
 
穴門は、御所を取り囲む壁に全部で13箇所。ここから、外部から必要な物資を御所に入れます。御所にお住まいの親王や皇女たちは、生まれてから、ずっとこの壁の中で暮らします。また御所周囲の宮家の方々も、自由にほかの場所を歩き回ることはできません。「いくら広いおうちでも、お外にめったに出かけられないって、辛いね~」と、庶民のミモロは、いつも御所に来るたびに思います。

「学習院跡」や皇女和宮さまの生家「橋本家跡」などを見学。その都度、そこにまつわる歴史的なお話しが紹介され、参加者の興味をいっそう誘います。
 

案内役のお話しを聞きながら、ミモロは、足元の草原で何か真剣に見つめています。
「これ、ヘビイチゴかな?」小さな赤い実のイチゴ…「食べられるかな…」10時からスタートした散策ツアーは、そろそろお昼近くに…。どうもお腹が空いてきたよう…。ミモロ、イチゴ見てないで、早く~「あ、待って~」と、気づくと周囲には、だれも…。慌てて後を追うミモロです。

ツアーの最後は、御苑北側にある桜の名所で知られる「近衞邸跡」へ。
春の見事な桜の写真を…「今年、ミモロ、この桜見たもん…」と、今は、緑の葉が茂る近衞邸の春の景色を思い浮かべるミモロです。

「楽しかった~」とミモロ。田村さん、八並さんお疲れ様でした、ありがとうございました。

京都御苑散策ツアーの所要時間は、約2時間。「都草」のメンバーでなくても無料で参加できます。
ただお散歩するより、案内されると、その歴史的な意味などがよくわかり、興味もいっそう。

詳しくは、「NPO法人 都草」のホームページで…。



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今年3月に新装オープンした「ほそつじいへえTEA ROOM」。究極のパンケーキは絶品。

2014-06-08 | グルメ

南座の近くに、今年の3月に手ぬぐいの老舗「永楽屋細辻伊兵衛商店 祇園店」が、四条通北側に新装開店しました。
 
その2階にあるのが、「ほそつじいへえTEA ROOM」。「ここパンケーキが美味しんだよ~」と、以前、このお店のイベントに招待されたとき、ミモロは、そのパンケーキを一切れいただきました。その美味しさが忘れられず、「丸ごと食べたい…」という野望を抱き続けていたのです。「早くいこうよ~。いつ行くの?」と、ブツブツ言いだしたので、梅雨の合間を縫ってでかけることに…。
「2階だよ~」とお店に入るなり、右側にある階段を一目散に上がります。

11時過ぎ…開店したばかりの店内。「よかった~ミモロが一番だ!」まだ混み合う前に到着です。
  
テーブル席とカウンター席があるモダンな雰囲気の店内。ミモロは、カウンター席に座り、さっそくメニューを…

このTEA ROOMは、江戸時代の元和元年(1615)創業の室町通にある呉服商「永楽屋 細辻伊兵衛商店」の14代目当主が、作ったお店です。現在、明治から昭和初期に製造されていた手ぬぐいの復刻版をはじめ、新しいデザインの手ぬぐい、つい最近は、市川海老蔵さんとのコラボ製品などを手掛けて、京都を訪れる人たちに人気を博しています。

なかなか個性的なご当主の細辻伊兵衛さんと息子さん。ミモロは、以前、こちらのイベントでお目にかかりました。

さて、メニューを丁寧に読んだミモロは、「あのー究極のパンケーキお願いします。それから、「京都四条」っていう紅茶も…」とお店の方に注文。こちらは、評判の紅茶専門店の「ムレナスティーハウス」とコラボで、店内では、香り豊かないろいろなフレーバーティーが楽しめます。店内には、購入できる紅茶もいろいろ。
 

「パンケーキは、15分ほどかかりますが、よろしいですか?」とお店の方。「はい、待ってまーす」と。
ミモロは、カウンターに乗って、パンケーキが焼けるのを見学…。これが見たくて、カウンター席にしたのねぇー。
厚い銅板のパンケーキプレートの前にかぶりつきで…。
  
寝かしてあったパンケーキのネタを、プレートに、トロトロとたらします。そして蓋を…「しばらくお待ちください…」
「もうすぐかな?」
じっと銀色の蓋を見つめるミモロ…あたりには、パンケーキの焼ける甘い香りが漂い、ミモロは、ゴクンとのどを鳴らしながら、今か今かと焼けるのを待っています。ミモロ、そんなに見てなくても…。「だって待ち遠しんだもの…」と、動こうとしません。
「さぁ、裏返しますよ…」
ふっくら膨らんだパンケーキを裏返すと…
こんがりキツネ色に…見るからに美味しそう…。でも、焼きあがるには、もう少し時間が…
「お茶をどうぞ…」
 
ミモロの前に、大きなカップに注がれたフレバーティーが…。ポットの中にもたっぷり…
いよいよパンケーキが焼きあがりました。

「はい、お待ちどうさま…」「わー大きい…美味しそう…」こんがり焼けたパンケーキは見るからに涎がこぼれそう…。
「やっと丸ごと全部食べられる…」ミモロの至福の時間の始まりです。
「わー中もしっかり…パウンドケーキみたい…」
ここのパンケーキは、フワフワというより、中身がしっかり…程よい弾力が…

ホイップクリームと特製のキャラメルソースをかけていただきます。


「ほどよい甘さ…美味しんだもんねぇーフレイバーティーが、いっそう美味しさを引き出す感じ…ムシャムシャ」
フレイバーティーを飲みながら、味わう美味しさは格別。
憧れの丸ごとを平らげたミモロ。
「ごちそう様でした…美味しかったでーす。また、お友達と来まーす」とスタッフにお礼を…。
「はい、またお待ちしています」

*「ほそじついへえTEA ROOM」京都市東山区四条通大和大路東入ル北側242 2階 075-551-3534 11:00~22:30LO 無休 「究極のパンケーキ」1620円 フレバーティー(ポット)864円ほか
 

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能面打ちのお教室見学へ(2) 檜の木材から次第に姿を見せる面。一刀一刀に込める気合

2014-06-07 | ものづくり


ご近所で行われている能面打ちのお教室に、ミモロは、ある日、見学に出かけました。
能面打ち歴、半世紀近くという園祇明さんが、自宅のお座敷で、毎月1~2回をなさっているお教室です。
「さわるの初めて・・・」と、能面を初めて手にとったミモロは感激。顔にもかけてみます。
面は、日本の伝統芸能になくてはならないもの。日本全国各地の郷土芸能や神楽などに、古くから用いられています。面をつけることで、鬼や亡霊、動物など人間以外のものになったり、若い女性や老婆などに変身し、物語を演じます。

能面打ちを指導してくださる園さんは、昼間は、クリーニング店のご店主、そして粟田神社の祭りでは、剣鋒の差し手として活躍していらっしゃいます。「能面打ちの先生だって、ずっと知らなかった~」とミモロ。「京都の人って、いろいろやってるんだね~」と、感心しきり。

さて、そんなことを思うミモロの傍らで、園さんは、能面打ちに集中しています。


友禅、西陣織、京漆器、仏壇など分業制が多い伝統工芸の中で、能面は、木材を彫ることから、表面の塗り、そして目や髪を描くことまで、すべてひとりで行うもの。だから、決まり事が多い能面でも、能面師により、微妙な趣の異なりが生まれるのです。「全部一人でするのって、大変そう…」とミモロ。「だからこそ、面白いんですよ…」と園さん。
「え~このお面も全部、園さんが作ったの?」「そうです」鼻にこぶがある老人は、人間を超えた存在の「はなこぶあくじょう」能面の中でも、彫りの深い顔立ち。ひげは、馬のたてがみなどを染めて、一本一本植毛。この世のものではないことをあらわす金色の目や歯も、金属を自分で、加工して装着するそう…。


今回、見学したのは、彫りの部分です。

能面に用いられる木材は、、木曾ヒノキ材を中心に、桂、桐など。木材のそれぞれの面に、鉛筆で、打つ面の型紙などを元にアウトラインを描き、それにそって、荒彫りで、面のだいだいの姿をつくり、それから次第に細部へと彫り進みます。

「これでサイズを測るんだよ~」と使い込んだものさしを持って…。


能面の大きさは、どれも縦20~23センチくらい。「決まってるから、演者によって、顔がはみ出る人がいるんだ~」と思うミモロ。

傍らに並ぶ、彫刻刀の種類は、さまざま…大きく木を削るものから、表面をやさしく削ったり、細部を削るものまで…よく手入れされた鋭い歯の彫刻刀がズラリ…。
 
彫刻刀の手入れも、能面打ちの仕事のひとつ。道具の状態をみれば、その人の腕がわかるといわれほど、大切な仕事です。


お座敷には、木を削るかすかな音が、響きます。

園さんの手元には、いろいろな彫りの段階の面が…。
 「なんになるのかな?」

能面は、横顔も大事…。この獅子口の面は、特に凹凸がはっきりしている面のひとつです。
「あ、耳もある…」そう、能面の多くは、耳がありません。

手慣れた彫刻刀づかいで、次々に彫り進む園さん。「ミモロちゃんも、ちょっとやってみる?」「え~いいんですかー」と、言い終わる前に、ミモロは、園さんの膝の上に飛び乗ります。

「そう、やさしく刀を滑らせて…」「はい…」と、真剣なミモロ。彫刻刀の先から、細かい木くずがこぼれます。

「ほんのわずか削るだけで、面の表情は変わります」とのこと。どこを削るか…それは、経験のなせる技。

しばらく体験させてもらったミモロ。
「なんかずっと息を止めちゃった…フ~」と、あまりに真剣にのぞんだよう。

面の表を彫ったら、次は、裏側を彫り、顔が納まる部分を作ります。「これってお面の特徴だよね~」


彫りの部分が終了したら、胡粉をなんどか塗り重ねて地肌を完成させます。
それが終わると、いよいよ墨で、目や髪、口元などを描きます。
「顔を描くときが、やはり1番緊張しますね」と園さん。木地と比べ、胡粉を塗ると、面は、ふっくらとして見えます。
孫次郎の面の目は、よく見ると、二重瞼。「能面って切れ長の二重瞼なんだ~」とじっと見つめたミモロ。そしれ、目の内側にアイラインを墨で描きます。「わーインナーラインだ~」。そう、現代のメイクアップでも、瞼の内側にアイラインを描くと、外側に描くより、自然に見えます。「それって、もう能面のメイクに使われてたんだ~」そばで騒ぐミモロに、園さんはキョトンと…。女性のメイクなんか知りませんよねー。やはり目力アップには、アイラインが効果的。「クレオパトラもアイランばっちり入れてたもんね~」

「あれ、能面って、まつ毛がない…」そう、能面には、今の女性が憧れるようなカールしたまつ毛はついていません。「ミモロといっしょだ~。目も、小さめだし、まつ毛ない…」「だからいいんですよ…微妙な表情をあらわすのに…」
能面で大きな目と口をもつのは、この世のものではない面がほとんどです。



ミモロが、はじめて覗いた能面の世界…「深い…」と一言。
室町以来、ずっと人々を魅了し続ける能や狂言。「こんど舞台見に行こう…そこで、じっくり能面を見るんだ~」とミモロ。

「ミモロちゃんお疲れ様…お茶どうぞ…」
能面を眺めながら、お茶とお菓子をいただくミモロ。「楽しかった…どうもお世話になりました。ありがとうございます」と、お礼を言って、園さんのお教室を後にしました。

*園祇明(そのよしあき)さんの能面教室に、ご興味のある方は、090-3895-7011にお問い合わせください。
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能面打ちのお教室見学(1)。初めて近くで見たいろいろな能面。その奥深さに感激・・・・

2014-06-06 | アート

ある日、ミモロは、ご近所の方に住む園祇明(そのよしあき)さんに、「ミモロちゃん、能面つくるところ、見たことありますか?」と聞かれました。「能面?ううん・・・。お能は、前に平安神宮の薪能や観世会館で鑑賞してことありますけど…。そうだ、能面は、博物館で見たことあります」と。園さんとミモロは、ご近所の氏神様、粟田神社の大祭で顔なじみ。クリーニング店のご主人の園さんは、剣鋒の差し手です。以前から、面打ちをやっていらっしゃるという話を聞いていたミモロは、身を乗り出してお話しを…。

ミモロならずとも、完成した能面は、博物館などで見たことがあっても、その面を打つところを拝見できる機会は、ほとんどないはず…。
「えーぜひ、拝見したいで~す」と、ミモロは、目をキラキラ輝かせて答えます。

それからしばらくして、ミモロは、園さんのご自宅で、開かれる能面教室を見学させていただくことに・・・。
「いらっしゃい・・・ミモロちゃん…」
ご自宅のお座敷が、お教室。そこにミモロに見せてくださるために、いままで作られたさまざまな種類の面の一部を並べてくださいました。

 
「うわ~いろんな種類のお面があるんだ~」と、ビックリ。

能面は、その演目、役柄によって、掛ける面がきっちりと決まっています。その数は、約250種類ほどといわれます。能が発達した室町時代から安土桃山時代に、能面の形は確立され、その後は、それを基本に模倣、再現されてゆきます。つまり、今、私たちが目にする能面は、信長などが目にした時代のものと、基本的には、同じといえるかもしれません。

ちなみに、能面のルーツは、奈良時代の伎楽や舞楽面といわれ、室町時代以降、観阿弥、世阿弥が、それまで庶民に伝わる猿楽を、幽玄の能として発展させたことで、能面の形式も、それを表現するものとして形式が確立されてゆくことに…。



さて、園さんが、能面打ちを始めたのは、昭和30年代から。当時、能に関する書籍を販売する会社に勤めていた園さんは、次第に能面の魅力に惹かれていったそう。
中京区の大江能楽堂の奥で始めたアマチュアの能面づくりの会を立ち上げ、そのメンバーとして、いっそう能面と深くかかわってゆくことに…。その会には、サラリーマン、教師、新聞記者、OLさんなど、年齢職業など、さまざまな人が参加したそう。それは、当時話題になって、新聞にも取り上げられました。

そもそも能面は、プロの能面師が、江戸時代ごろまで、世襲により伝えられたもの。観世、金春、金剛、室生、喜多などの流派の能楽師などに依頼されて製作されていました。能楽師の家には、代々、さまざまな面が伝えられ、それを舞台で掛けることが多いとか…。ですから、今でこそ、カルチャー教室などでも、能面打ち講座などがありますが、昭和30年代では、そんなプロの世界のものに挑戦する、素人のサークルというのは、珍しかったそう。サークルの先生は、昭和の能面師、北沢如意氏を迎えて、指導を仰いだそう。

「能面は、完成された様式美であり、それに少しでも近づきたい…そんな思いから、ずっと能面打ちを続けているかも…」と園さん。能面打ちを始めたばかりのころの作品と、今の作品では、同じ種類の面でも、明らかに違いがあるそう。

自由な発想で作られる木彫彫刻や、またある決まり事はあっても、その人らしさを表現する仏像彫刻とは、まったく違う、強烈な様式に縛られた能面。だからこそ、先人の技への憧憬が、創作意欲を掻き立てるのかもしれません。

さて、能面は、翁、老人系、鬼神系、女面系、男面系、怨霊系などに大きく分類されます。
園さんいわく、「能面は、小面(こおもて)にはじまり、小面に終わる…」とか…。小面は、可憐な若い女性を代表する面です。鬼などの面より、凹凸が少なく、シンプルな故に、打ち手の力量が出る面だそう。

男性が演じることが多いからか、女性の面の種類は豊富。若い女性から、年齢を重ねると、面も次々に変わってゆきます。
  
「わーエイジングしてゆくのが、よくわかるね~」とミモロ。昔の人は、いかに女性の顔を観察していたかが、わかる面です。歳を重ねるって、こういうこと…。眉や髪が薄くなり、目も幾分小さく、頬のハリが下がり、フェイスラインも下膨れ気味…。シワこそありませんが、明らかに年齢を重ねているのが明白、コワすぎる…


こちらは、乱心の女性の面。髪が乱れ、眉間や頬にくぼみがあります。妄想や執念に取りつかれた女性の顔を表すそう。
「心が乱れると髪も乱れるってことね~。眉間にシワもあるよ~」と、ミモロは、恐る恐る見つめます。

「こっちは、もっと悲しそう…」中将と呼ばれる中年貴公子の霊の面。


能には、多くの霊が登場します。その霊が、浮かばれない思いを語るストーリーも多数。「それって、昔の人って、現実の世界では、自分の思いをなかなか表現できなかったことのあらわれかもね~」とミモロは思います。

霊と同じく、この世のものではない鬼などをはじめ、狂言で使われる面も…。
   
「この世のものでない面には、金具が目や歯に使われるんですよ」と園さん。目や歯の金色の部分は、塗りではなく、金属を加工して嵌められます。


「これは、可愛い…」狂言に登場する子ザルの面。
鬼の面を怖がるミモロも、このお面には、親しみを覚えたよう。

ミモロ、お面をかけても前見えるの?

「もう一度、やってみるね~」とミモロは、孫次郎(若い女性の面)をかけてみます。「どこから見るの?」
「ミモロちゃん、外は、面の鼻の穴からのぞいて…」「えー目じゃなくて、鼻の穴?」能面を顔に掛けると、ほとんど周囲は見えません。かろうじて見えるのが、斜め下方向です。特に、女面の動きは、微妙…上下にかすかに動かし、その表情を表します。喜びは、面を上に傾け照らし、悲しみは、下に向け曇らします。
「この面をつけると、前方がよく見えないから、舞台の大きさって、わかってないと、落ちちゃうかも…」。
動作が大きなものほど、よく見えるように、鼻の穴は、大きくなっているのだとか…。


「面で、鼻の穴の形は、微妙で、上品にも下品にもなるんですよ…。僕は、女性を見ると、つい鼻の穴の形が気になって…」と園さん。その言葉に、あわてて鼻を押さえるミモロでした。


「では、次に能面を打つところ見ててくださいね」と、「はーい」ミモロは、いっそう目を輝かせて園さんのそばへ。
いよいよ面打ちの見学です。

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