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けっぱれラピット、どろ亀さんに負けるな。ウサギとカメとの競走です。随想、旅行記、日記など、雪の降る街からのお便りです。

群来る 地名にも「群来」あり

2013-04-11 09:19:00 | 風土
「群来」(くき)と言う言葉は一般にはあまり理解されていない言葉かも知れません。
稚内の高台にある展望塔下の展示場にもむかしのニシン漁の写真とその説明文がありましたが、「郡来」と字が間違って書かれてあり、やむなく指摘しさせてもらったことがあります。字を間違って書くほどですから、多くの人に「群来」が十分理解されていないようなのです。その道の研究者の中にも「郡来」としている人さえいるほどなのです。
「群来」とは、「鰊(ニシン)が群れ来る様」を指した言葉なのですので、群れ来るのですから「群来」(くき)でなければならないのです。
北海道の地名の中にも「群来」(くき=後志・古平町の大字町名)と言う地名があり、むかしはさぞかし鰊が「群来た処」であったのだと想像できるのです。
石垣福雄著『北海道の方言紀行』という本を見ておりましたら、「群来」には元来区別された中味がある事が書かれてあり改めて「群来る」について再認識いたしました。
その一部を抜粋して次に紹介します。『ニシンのの接岸を漁師はグンライとか、ツケルとかいうが、クキ(ル)とはいわない。クキとは接岸したニシンが産卵し、放精して海水が乳白色になることをいう。これからクキニシン、クキ汁、クキド(処)などの言葉が誕生しました。しかし、クキはニシンに限らす、秋田ではハタハタの産卵をもこういう』(忍路の鰊場の会長の須藤正敏さん談)(同著158p)とあり、ニシンが来たことをくるめて「群来る」とは言わず、もともとは浜が乳白色(鰊の放精)になった様と区別していたようなのです。