「エゾエンゴサク&マルハナバチ」
3月末から4月上旬にかけて、ブルー色のエゾエンゴサクが地面一面に咲きます。場所によっては広い場所一面に咲くので春の野行きの行楽客を喜ばせます。
4月2日に北海道医療大学の里山に出向いた折には、エゾエンゴサクやカタクリの花萌えの時期で、目に優しく目の覚める美しさでした。
一匹のセイヨウマルハナバチがエゾエンゴサクの花の蜜を吸いに来ておりました。何でもそうですが、花は咲き始めがまっこと美しいのです。
春早々に他の植物たちよりも早く咲く植物としてあげられているものに、その真っ先にあげられる花はエゾエンゴサクとカタクリです。これらの早春季植物をスプリングエフェメラルといいますが、その第一にあげられている花がエゾエンゴサクなのです。
国道275を幌加内から美深町境まで北上すると、それは見事なエゾエンゴサクの花園が展開します。
どうしてこれほどまでエゾエンゴサクの繁殖能力があるのか不思議です。
エゾエンゴサクの種を運ぶのは蟻たちと言いますが、蟻の姿も見ていません。受粉を助ける昆虫のマルハナバチをあまり見ていません。
それなのに里山一面が春の花園化していったのです。これは、不思議と言えば不思議です。
話は変わりますが、これはオホーツクの紋別でのはなしです。ある年、ある春に山手側の郊外に車を走らせました。だいぶん車を走らせて、ある針葉樹林の場所で車を止めて、私だけ林の中にはいりました。何か珍しい植物でも見つけることが出来ればとの思いからでした。
そこに展開していた光景は今でも目に焼き付いています。そこは、エゾエンゴサクの群生地でした。松の木で空は覆われていたので、エゾエンゴサクの茎は光を求めて長くその上に花を付けています。
そしてそこにはマルハナバチが群れ飛んでいました。エゾエンゴサクの甘い蜜を求めていたのです。森の中なので花の茎はかよわくマルハナバチが蜜を吸おうと花に止まるとぐにゃりとしなり、地面まで垂れ下がるのです。
見事なまでのエゾエンゴサクとマルハナバチの花園の光景でした。
その結果、花は十分に受粉され、元気な種がその地にまかれるのでしょう。
この時以外に、エゾエンゴサクとマルハナバチの無数の競演を見たことがないのです。