渋谷「Bunkamuraシネマ」で上映中のイタリア映画「いつだってやめられる」を見てきました。
『2009年にギリシャで始まった欧州経済危機はイタリアにも飛び火し、大学の研究費削減により研究員たちは給与をカットされたり解雇されたりした。彼らの中には国外に活路を求める者も多く、「頭脳流出」と呼ばれ社会問題となった。本作は、そうした不遇な研究員たちが、それぞれの才能を思いがけない分野で発揮する・・・。
神経生物学者のピエトロ・ズィンニは、生活のため仲間たちと合法ドラッグを製造した結果、逮捕され服役していたが、前科の抹消と引き換えに警察から合法ドラッグ撲滅のための極秘任務を依頼される。才能がありながら、人生のチャンスや転機に巡り合えない仲間たちが再び集結し、・・・頭脳流出組も新メンバーとして加わる。・・・プライドの高さや意見の相違から罵り合うことも少なくないが、次第に友情にも似た奇妙な仲間意識が芽生えていく。次々と予期せぬ事態が起こり、抱腹絶倒の追跡劇が展開する。』(HP「解説」より)
大学の研究費削減と研究者の苦境というは、日本でもよく聞く話で、話の前提を身近に感じて見てみようという気になったのですが、さすが、イタリア。策略、暴力、追跡、恋人とのすれ違い、、、と巻き起こるドタバタ劇は、日本の真面目な研究者たちからは想像できないぶっ飛んだものでした。
その一方で、彼らの知力、専門分野への拘り、探求心、そしてある種の不器用さなど、万国共通の研究者のキャラクターが、ストーリーの中で上手く描かれていて、それがコメディーの大事な要素となって笑いを誘っていました。
ヒーローもいないし、ハッピーエンドでもない作品なのに、イタリアらしい明るさがあって、ハラハラしたり笑ったりしながら作品に心を奪われ、見終わった時には、梅雨の晴れ間の渋谷の街に相応しい、スカッとした気分になっていました。(三女)