昨日は次女と一緒に、藤原歌劇団公演のオペラ「ラ・トラヴィアータ(椿姫)」を観てきました。
オペラ「椿姫」を見るのは今回が2度目。19世紀フランスの作家アレクサンドル・デュマ・フィスの小説「椿をもつ女」を原作とした「椿姫」は、以前にも書いたように、パリの高級娼婦ヴィオレッタとプロヴァンス出身の素朴な青年アルフレードの純愛と、ヴィオレッタの自己犠牲とアルフレードの誤解、ヴィオレッタ、アルフレード、アルフレードの父ジェルモンの和解とヴィオレッタの死、という悲恋物語。これに39歳の円熟期にあったジュゼッペ・ヴェルディが美しいメロディーをつけて、世界的な人気オペラ「椿姫」は生まれました。
主演は、ヴィオレッタが光岡暁恵さん、アルフレードが中井亮一さん、ジェルモンが上江隼人さん。
光岡暁恵さんは昭和音楽大学卒業後イタリアに留学。各種コンクールで入賞し、現在藤原歌劇団団員として活躍しているソプラノ歌手。「椿姫」のヴィオレッタ役は独唱する場面が多いのですが、ほっそりした姿からは想像できないエルギーで、終始深く美しく伸びのある歌声を聞かせてくれました。最後に死を迎える場面では、歌声の美しさと佇まいの切なさに胸がいっぱいになりました。
中井亮一さんは名古屋芸術大学卒業後、やはりイタリアに留学。現在は藤原歌劇団団員で、2017年3月に行われた「藤原歌劇団トップ・テナーズ」コンサートにも出演しています。今回も甘く艶のある声でヴィオレッタの恋人役をしっかり演じていました。
ジェルモン役の上江さんさんは東京芸大卒。イタリアに留学し現在はミラノ在住でイタリアでも活躍しているバリトン歌手。二期会会員。次女の知人でもあります。いつもながら圧倒的な存在感で舞台を引き締め重厚感を与えていて、観客からも大人気です。
第1幕の華やかで陽気なパリ社交界、第2幕第1場の穏やかで素朴なパリ郊外の別荘、第2場の危うさを孕んだ煌びやかなパリ・フローラの館、そして第3幕の死を待つ静けさと悲しみに満ちたヴィオレッタの寝室。これらの場面を、演出家の粟国淳さんと美術担当のアレックサンドロ・チャンマルーギさんがどう演出するのかも興味深々でしたが、全景は額縁に収めた絵画で表現し、細部は出演者たちの衣装で雰囲気を作り上げるという手法は、斬新なアイディアながらオーソドックスさを壊さない見事なものでした。
第1幕と第2幕の間の20分休憩では、ロビーの花輪を眺めたり白ワインを飲んだりして、華やいだ雰囲気をゆっくり味わいました。
が、第2幕はワインが効いてしまいウツラウツラ・・・夢の世界でも目覚めても美しい音楽と美しい舞台に囲まれている、という不思議な幸福感を味わいました。
「椿姫」はニューイヤースペシャルとして扱われることが多いということですが、「乾杯の歌」「幸福なある日のこと」他、私たちにも馴染みのある歌が沢山あって楽しいし、悲しい最後とはいっても全体としては明るさ華やかさが感じられて新年に相応しいというのも頷けます。会場にはオペラファンが大勢詰めかけてほぼ満席状態でした。
終演後はJR上野駅2階のレストラン「文化亭」に寄って、日本酒と焼酎で乾杯!
鰤の刺身、天ぷら、蕎麦サラダを食べながら、今回のオペラの感想、その他のオペラの話、歌を上手く歌うコツ、等々、音楽談義、、、
最後にデザートまで食べて、身も心もすっかり満ち足りて、充実感いっぱいで帰路につきました。あ~楽しかった!(三女)