昨日は渋谷Bunkamuraオーチャードホールで行われた加藤登紀子コンサートを観に行ってきました。
午後3時15分開場、4時開演ということで、開場時間に合わせて行くと、会場入り口前に入場待ちの長い行列ができていました。ほどなくして開場すると、皆さん手の消毒と検温を終えて粛々と入場。
会場はコロナ対策で収容数は多分5割位。座席はグループ間の間を開けて配置されていて、私の席は両隣夫々2つが空席、私のすぐ前の座席も空席で、お陰でリラックスしながらステージ全体を見渡せる、快適な空間になっていました。
開演と同時に照明が暗くなり、黒を基調とした舞台に、ピアノ、バイオリン、ベース、ギターの演奏者が黒い衣装を着て登場。導入の演奏が始まると、スポットライトを浴びて白い衣装の登紀子さんが登場。会場が一気に華やぎ大きな拍手が沸き起こりました。
曲目前半は:
○そこには風が吹いていた
○琵琶湖周航の歌
○未来への詩(うた)
○この手に抱きしめたい
○ひとり寝の子守唄
○あなたの行く朝
○今があしたと出逢う時
今回のコンサートのテーマは「時には昔の話を」。登紀子さんは、これまでの人生の節目節目、時代の節目節目に出会った、あるいは節目節目に悲しさや辛さと向き合いながら自ら作った歌について語り、それぞれの歌を深い思いを込めて歌い、その深く温かい歌声が、自粛生活に疲れた心に沁みわたりました。
15分間の休憩後、登紀子さんは黒を基調に、刺し色に赤を使った衣装で登場。
曲目後半は:
○暗い日曜日
○今日は帰れない
○カチューシャの唄
○さくらんぼの実る頃
○ペール・ラシェーズ
○愛の讃歌
○時には昔の話を
後半は、国内から離れて、ハンガリー、ポーランド、ロシア、フランスなど、世界の歴史の中で繰り返されてきた暗い、過酷な状況下に生き、『それぞれの場所で少しでも光の方へ一歩を踏み出そうとする(*)』人々の姿を歌い上げました。(*:登紀子さんが最近書き上げた著書「哲さんの声が聞こえるー中村哲医師が見たアフガンの光」の中の一文。)
感動に包まれた会場に思いがけず笑いが起きたのは、プログラム最後の曲、「時には昔の話を」(「紅の豚」のラストテーマ)を歌い終わって万雷の拍手を浴びた後に、「歌っている途中で、“歌詞が飛んで”しまったから」と言って、もう一度歌い直したこと。
しかも、歌い直しでも又一瞬歌詞が出て来なくなって、バックのギター奏者に助けてもらい、客席の応援の拍手を浴びながらようやく歌い終わった時には、超ベテラン歌手・登紀子さんの人間臭い姿に、客席中から親しみと好意に満ちた熱い拍手が沸き起こりました。
アンコール一曲目は「百万本のバラ」。いつものようにステージ背景に真っ赤なバラの絵柄が映し出され、皆の手拍子と共に華やかに、楽しく盛り上がりました。
そして、最後の曲は「今あなたに歌いたい」。今コロナ禍で苦しむ全ての人に寄り添うメッセージのように感じられました。
久々に登紀子さんの人柄と生の歌声に接することで、コロナ禍に凍えた気持ちと身体に温かい血が流れ込んで、生き返ったような気がしました。本当に行って良かった!やっぱり元気に生きていくためには、芸術や音楽が必要ですね♪(三女)