昨日友人に誘われて、バイオリニスト黒沼ユリ子さんのトーク付きコンサート「楽しい弦楽四重奏の会」に参加してきました。
会場は、メキシコに長期間滞在した経験を持つ黒沼さんが、メキシコのアカプルコ市とテカマチャルコ市と姉妹都市である御宿の町が気に入って、2年前に駅のすぐ近くに作った「ヴァイオリンの家・日本メキシコ友好の家」です。
木造3階建ての空き家を買って、画家の池田忠利氏の手で黒沼さんのイメージ通りのメキシコ風な家に改築したこの建物は、1階はカフェ、2階は「ワタベ・コレクションルーム」、そして3階が、45名ほどお客を収容できるコンサートホールになっています。
「ワタベ・コレクションルーム」というのは、文化イベントのプロデューサーで黒沼さんのパートナーだった故渡部高揚氏が集めた「ヴァイオリニスト」の人形等が600体近く並ぶとても楽しい空間です。
コンサートのプログラムは、
・ドヴォルジャークの弦楽四重奏曲 第12番ヘ長調、作品96「アメリカ」と
・スメタナの弦楽四重奏 第1番ホ短調「わが生涯より」の2つの作品。
演奏者は、黒沼ユリ子(ヴァイオリンI)、山森陽子(ヴァイオリンII)、植村理一(ヴィオラ)、宮澤等(チェロ)の各氏。
黒沼さんの説明によれば、「アメリカ」は、チェコからアメリカに移ったドヴォルジャークが、アメリカの環境に戸惑い、ネイティヴアメリカンの悲しみに心打たれ、その後子供たちも渡米して家族全員が揃った喜びを表す構成になっているとのこと。なるほど、全体の雰囲気は、大家族のワイワイガヤガヤの楽しさ賑やかさを彷彿とさせるものでした。
「わが生涯より」は、オーストリア帝国(今のチェコ共和国)で生まれ育ったスメタナが、民族の誇りを持って交響曲を作り成功を修め、やがて年老いて、自分の生涯を静かに振り返るというストーリー性のある構成。華やかさの後のやや沈んだ音調に、人生の重みを感じさせられました。
2曲弾き終えた後、9月30日が「ヴァイオリンの家」オープンから丁度2年目ということで、「ハッピーバースデイ」をアンコール曲に選び、普通の弾き方、「ベートーベンもお祝いに来てくれました」「チャイコフスキーも駆けつけてくれました」「ドヴォルジャークも」「スメタナも」「チャプリンも・・・」と言って、色々な個性を見事に表した「ハッピーバースデイ」を披露してくれたのが、いかにもそれらしくて面白く、とても楽しかったです。
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演奏会前に、せっかく遠路御宿まで来たのだから、地元お勧めの美味しいものを味わおうと「かね八寿し」の地物寿しを食べました。伊勢海老、真鯛、石鯛、イサキ、コショウダイ、カンダイ、鰹、蒸しアワビのセット、素晴らしく美味しかったです!
更に、せっかくなので海も見たいと、月の砂漠記念像のある中央海水浴場まで行ってみました。広々と開けた海岸、伊豆とはまた違った海の色、海辺にたたずむカップルやサーフィンを楽しむ若者たちの姿。外房の海の魅力がいっぱいでした。
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片道2時間半以上かけた遠出でしたが、普段と全く違った風景、中々味わえない楽しく文化的な空間に身を置くことができて、充実感いっぱいの、とても幸せで素敵な一日になりました。(三女)