Bunkamuraザ・ミュージアムで9月24日まで開催中の「ベルギー奇想の系譜展」を見てきました。
展示は、今のベルギーとその周辺地域で生まれ発達した独自の絵画を、「15-17世紀のフランドル美術」「19世紀末から20世紀初頭のベルギー象徴派、表現主義」「20世紀のシュルレアリスムから現代まで」と時代別に括って、『500年にわたる「奇想」の系譜』(HPより)を探ろうというもの。
上は、「15-17世紀のフランドル美術」の中の、ヤン・マンデイン作「聖クリストフォロス」。
ヒエロニムス・ボス派のこの画家は、奇妙な生き物や、不思議な建物や風景、聖徒や幼いキリストや悪魔などを、細々と細部に拘って描き、実に不可思議な世界、公式HPがいう「へんてこ だけど 面白い!」世界を描き出しています。
こちらは、ピエール・ブリューゲル作「七つの大罪・大食」。人も魚も動物も、あちらこちらで寝そべって、だらしなく飲んだり食べたり、、、。これでは神の怒りに触れますよね。
白黒の版画で、小さくて見辛いのですが、比較的空いていたお陰でかなりじっくり眺めることができました。それにしても、おかしな世界だなあ。
今年5月に「バベルの塔」展を見たときにも思ったのですが、この時代の、この地域の人たちって、どんな世界観の中で日々を暮していたのでしょう。好奇心が刺激されました。
こちらは、「20世紀初頭の象徴派」、ヴァレリウス・ド・サードレール作「フランドルの雪」。前の時代の騒々しさと打って変わって、人も動物も全く居ない、ひたすら静かな雪景色と遠くの夕日が印象的です。
こちらは、「現代画」、マルセル・ブロータールス作「マウスがラットと書く」という不思議なタイトルの絵、しかも描かれているのはマウスでもラットでもなく猫!何が言いたいのか、ベルギー絵画の系譜をどう引き継いでいるのか、よく理解できないままに、例によって「猫」の姿が可愛いので気に入りました。
というわけで、「???」の気分のまま、けっこうじっくり見て、けっこう楽しい時間を過ごしました。でも、私の部屋に飾りたくなるような絵は、やっぱり無かったな。(三女)