長く続いた大雨がようやく落ち着いた昨日、下高井戸シネマで上映中(9月5日~11日)の映画「
パレードへようこそ」を、夫と一緒に見に行って来ました。
1980年代、保守的な風土のイギリス社会で、同性愛者であることはとても大変で、差別され嫌がらせをうけることは日常茶飯事。けれど「自分が自分らしく生きるのは当たり前」とプライドを持って、ユーモアと知性を駆使して、前向きに生きるマークらロンドンの若者達。
彼らは、サッチャー政権下閉鎖に追い込まれようとしている炭鉱労働者に、「自分達と同じように排除の対象にされている」と共感を寄せ、炭鉱労働者のストライキを支援するLGSM(炭鉱労働者支援レスビアン&ゲイ会)を立ち上げます。
彼らは自分達に向けられた嫌がらせを乗り越えて募金活動を行い、集まった寄付金を持ってウェールズの炭鉱町を訪れますが、その町でも同性愛者に対する偏見は根強く、最初はLGSMメンバーとの接触や支援を受けることに強い拒否反応が示されます。
けれど、労働組合の主要メンバーは偏見を持つことなく、LGSMメンバーの厚意を受け入れることを決め、組合員たちも次第に心を開くようになっていきます。
組合代表のひとり、ダイが初めてゲイバーを訪れて語ったスピーチが心を打ちます。
「巨大な敵と闘っている時、どこかで見知らぬ友が応援してくれてると思うと、最高の気分です。」「皆さんがくれたのは、お金ではなく、友情です。」
こうして、労働組合メンバーとLGSMメンバーの愉快な交流が続き、‘ゲイもノーマル’も集うロンドンのパブやクラブでは、炭鉱労働者支援のため多額の寄付金が集まります。
しかし、組合と政府の交渉が決裂し、ストが更に続くことになった段階で、同性愛者に根強い偏見を持った女性がタブロイド誌をそそのかし「オカマがストに口出し」という記事を書かせ、支援活動は困難に直面・・・
こんな感じのストーリーですが、最後は、同性愛者の祭日に、全国から炭鉱労働者たちが続々と訪れ、ゲイやレスビアンたちと炭鉱労働者たちが、手を取り合い、腕を組み、胸を張って、笑顔でパレードをする光景で終ります。
プライド、友情、連帯、苦悩を跳ね返す大らかな笑い、行動することで得られる自由。加えて懐かしさを感じさせる歌の数々、舞台となったウェールズの広大な景色。この映画には、心温まり、励まされる要素がいっぱいです。
ただ、ひとつ。実話に基づいたこの映画の終わりに、「LGSMのリーダー、マーク・アシュトンは、1987年にエイズのため26歳で他界」と出たので、胸にズキンと痛みが走りました。
今年4月に封切りだったこの映画、その存在を見落としていましたが、東京での再上映の終了前日に、かろうじて見ることができて良かったです。今後の上映スケジュールは以下のとおり。お近くにお住まいの方は、是非足を運んでみてください。(三女)
http://www.cetera.co.jp/films/theater/?q=pride