うすくこく苑(その)の胡蝶(こてふ)はたはぶれてかすめる空に飛びまがふかな(後鳥羽院御集)
わづ かなる春の胡蝶の羽風(はかぜ)にも にほひをちらす花園の梅(草根集)
わがやどの春の花園みるたびに飛びかふ蝶(てふ)の人馴れにける(夫木抄)
おもしろや花にむつるる唐(から)てふのなればや我も思ふあたりに(夫木抄)
うすくこく苑(その)の胡蝶(こてふ)はたはぶれてかすめる空に飛びまがふかな(後鳥羽院御集)
わづ かなる春の胡蝶の羽風(はかぜ)にも にほひをちらす花園の梅(草根集)
わがやどの春の花園みるたびに飛びかふ蝶(てふ)の人馴れにける(夫木抄)
おもしろや花にむつるる唐(から)てふのなればや我も思ふあたりに(夫木抄)
山吹の花かげ見ゆる沢水にいまぞ蛙(かはづ)のこゑ聞こゆなる(古今和歌六帖)
山吹の花のさかりになりぬとやをり知りがほにかはづ 鳴くらむ(六百番歌合)
水(み)がくれてすだくかはづ のもろ声にさわぎぞわたる井手の浮き草(後拾遺和歌集)
真菅(ますげ)おふる荒田に水をまかすればうれしがほにも鳴くかはづ かな(風雅和歌集)
瀬をはやみ落ちたぎちたる白波にかはづ 鳴くなり朝宵(あさよひ)ごとに(万葉集)
春ふかみ花散りかかる山の井のふるき清水にかはづ 鳴くなり(夫木抄)
暮れてゆく春を惜しとやもろごゑに井手のかはづ のすだくなるらむ(永久百首))
夏ちかくなりにけらしな山城の和泉の里にかはづ 鳴くなり(夫木抄)
「平家花ぞろへ」より、平知章を花にたとえている文章を抜き出します。(「室町時代物語集成12」角川書店)
見ざまもよく心も高(かう)に、よそひ・ことがら思ふさまにて、あらをかしげと、けざやかにふと見えたまふさま、山吹などとやきこえむ。
知章は平知盛の長男で、源平の戦いで若くして命を落としています。
ちはやぶる神奈備川にかげ見えていまや咲くらむ山吹の花(古今和歌六帖)
玉藻刈るゐでのしがらみ春かけて咲くや川瀬のやまぶきの花(新勅撰和歌集)
咲きにけり苗代水にかげみえて田中の井戸のやまぶきのはな(続古今和歌集)
くちなしの色にぞ澄めるやまぶきの花のしたゆく井手の河みづ(千載和歌集)
色も香もなつかしきかなかはづ 鳴くゐでのわたりの山吹の花(小町集)
沢みづ にかはづ 鳴くなりむべしこそ岸の山吹さかりなりけり(後拾遺和歌集)
ひとへだに飽かぬこころをいとどしく八重かさなれるやまぶきの花(詞花和歌集)
春風はのどけかるべし八重よりもかさねて匂へ山吹のはな(拾遺和歌集)
春ふかみ井手の川波たちかへり見てこそゆかめ山吹の花(拾遺和歌集)
さいたづままだうら若きみ吉野の霞がくれにきぎす鳴くなり(忠度集)
野べ見ればやよひの月のはつかまでまだうら若きさいたづまかな(後拾遺和歌集)
春日野にまだうら若きさいたづま妻こもるともいふ人やなき(玉葉和歌集)
野べごとにいつしげるらむさいたづま朝ふす鹿の隠(かく)らなるまで(山家五番歌合)
うらわかき弥生の野べのさいたづま春は末ばになりにけるかな(六百番歌合)
(「さいたづま」=虎杖イタドリ のこととされるが、春の若草の総称という説も。)