呼子鳥なく音(ね)ぞいとどあはれなるははその森の暮れがたの空(夫木抄)
朝露にしとどにぬれて呼子どり神奈備山に鳴きわたるなり(夫木抄)
思ふこと千枝(ちえ)にやしげきよぶこ鳥しのだの杜(もり)のかたに鳴くなり(千載和歌集)
友もなき雲ゐの山におのれのみうはの空にもよぶこどりかな(夫木抄)
人もなき深山(みやま)の奥の呼子鳥いくこゑ鳴かばたれかこたへむ(風雅和歌集)
聞く人もなき奥山のよぶこどりかひなき音(ね)をぞ我もなきつる(久安百首)
山彦もこたへぬ山のよぶこどり我ひとりのみなきやわたらむ(拾遺和歌集)
つれづれと春の夕暮れながめやるをりにしも鳴く呼子どりかな(堀河百首)
夜をのこす寝覚めにたれをよぶこどり人もこたへぬしののめの空(夫木抄)
あたら夜のあはれを知るやよぶこどり月と花とのありあけの空(玉葉和歌集)
鳴けや鳴けしのぶの森のよぶこ鳥つひにとまらむ春ならずとも(新続古今和歌集)