monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

春の海辺

2010年03月19日 | 日本古典文学-和歌-春

朝まだきかすみも八重(やへ)の潮かぜに由良(ゆら)の門(と)わたる春の舟びと(続後拾遺和歌集)

春の日のうららにさしてゆく舟は棹(さを)のしづくも花ぞ散りける(源氏物語)

田子の浦にかすみのふかく見ゆるかな藻塩のけぶり立ちやそふらむ(拾遺和歌集)

潮風の音(おと)もたかしの浜松にかすみてかかる春の夕浪(続拾遺和歌集)

浦とほき難波の春の夕なぎに入り日かすめる淡路島山(続拾遺和歌集)

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浜木綿(はまゆふ)

春霞いくへかさねて隔つらむえぞみくま野の浦のはまゆふ(長方集)

み熊野の浦のはまゆふ見えぬまでいくへ霞のたちへだつらむ(夫木抄)

み熊野の浦の浜木綿(はまゆふ)いくへかも我をば人の思ひへだつる(古今和歌六帖)

いたづ らに年(とし)ぞかさなるみ熊野の浦の浜木綿われならなくに(新撰和歌六帖)
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桜貝(さくらがひ)

春はさぞ花おもしろくさくらゐの浜にぞひろふおなじ名の貝(廻国雑記)

波よする霞の浦に散る花をさくら貝とや人は見るらむ(為忠家後度百首)

春風のふけひの浦に散る花をさくらがひとてひろふ今日かな(夫木抄)
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鯛(たひ)

桜鯛(さくらだひ)花の名なれば青柳の糸をたれてや人の釣りけむ(夫木抄)

かすみしく波の初花をりかけてさくら鯛釣る沖のあま舟(山家集)

のどかなる春のひがたのうら波に鯛釣る小船(をぶね)けふもいづ らし(夫木抄)

ゆく春のさかひの浦の桜鯛あかぬかたみに今日や引くらむ(夫木抄)

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春夜

2010年03月18日 | 日本古典文学-和歌-春

花の白きこずゑのうへはのどかにて霞のうちに月ぞふけぬる(風雅和歌集)

春の夜はいこそ寝られね閨ちかき梅のにほひにおどろかれつつ(太皇太后宮大進清輔朝臣家歌合)

いもやすく寝られざりけり春の夜は花の散るのみ夢に見えつつ(新古今和歌集)

おもひつつただうたた寝の夢の間にいく山こえて花を見つらむ(藤原師兼)

花ちらば起きつつも見むつねよりもさやけく照らせ春の夜の月(続後拾遺和歌集)

風にさぞ散るらむ花のおもかげの見ぬ色惜しき春の夜のやみ(玉葉和歌集)

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寄夢恋

2010年03月18日 | 日本古典文学-和歌-春

いとせめて恋しきときはむばたまの夜のころもを返してぞ着る(古今和歌集)

夢をだにいかでかたみに見てしがな逢はで寝(ぬ)る夜(よ)のなぐさめにせむ(拾遺和歌集)

寝られねば夢にも見えず春の夜をあかしかねつる身こそつらけれ(続古今和歌集)

み空ゆく月のひかりにただひと目あひ見し人の夢にし見ゆる(万葉集)

うつつには逢ふことかたし玉の緒のよるは絶えせず夢に見えなむ(拾遺和歌集)

おもひ寝の小夜(さよ)のまくらに逢ひみればうつつにまさる夢のかよひ路(正治二年初度百首)

逢ふとみて覚むる夢ぢのなごりだになほ惜しまるるあかつきの空(順徳院御百首)

思ひつつ寝(ぬ)ればや人の見えつらむ夢と知りせば覚めざらましを(古今和歌集)

見てもまた覚むるうつつにまよふかな逢ふ夜まれなる夢の通ひ路(藤葉和歌集)

夢にさへ人のつれなく見えつれば寝てもさめてもものをこそ思へ(拾遺和歌集)

逢ふことは夢のうちにもうれしくて寝覚めの恋ぞわびしかりける(拾遺和歌集)

いかなりし夢のなごりの覚めやらで今も乾かぬたもとなるらむ(風葉和歌集)

うたための夢路にまよふあけぐれに覚めで消えぬるわが身ともがな(風葉和歌集)

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春の月

2010年03月17日 | 日本古典文学-和歌-春

照りもせずくもりもはてぬ春の夜の朧月夜にしくものぞなき(新古今和歌集)

ふかき夜のあはれも空にしられけりおぼろにかすむ春の月かげ(宝治百首)

飽かず見る花のにほひもふかき夜の雲ゐにかすむ春の月かげ(新拾遺和歌集)

春されば木がくれ多き夕月夜(ゆふづ くよ)おぼつかなしも花かげにして(後撰和歌集)

木の間もる月さへ影のかをるかな花の軒ばの朧夜の空(伏見院御集)

月かげにむかしの春を思ひ出でてわが身ひとつと誰れながむらん(続後撰和歌集)

ながむとも同じこころに誰れか見む思ひぐまなき春の夜の月(風葉和歌集)

よそにても同じ心にありあけの月を見るとや誰れに問はまし(万代集)

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春夕

2010年03月16日 | 日本古典文学-和歌-春

さくらばな霞あまぎる山の端(は)に日もかげろふの夕暮れの空(続拾遺和歌集)

花のうへにしばしうつろふ夕づ くひいるともなしに影きえにけり(風雅和歌集)

この里のさくらを雲とながめつる都ぞかすむ春のゆふぐれ(続古今和歌集)

花の色はそことも知らずにほひきて遠山かすむ春の夕暮れ(続拾遺和歌集)

見わたせば山もとかすむ水無瀬川ゆふべは秋となに思ひけむ(新古今和歌集)

山里の春のゆふぐれ来てみれば入相(いりあひ)の鐘に花ぞ散りける(新古今和歌集)

なにとなくもののあはれぞうちにほふ霞の暮れの入相のこゑ(伏見院御集)

おのづ から入相のこゑもうちしめり雨ふる寺の春のゆふぐれ(前大納言親長卿百首)

夕されば雲のはたてにものぞおもふ天(あま)つそらなる人を恋ふとて(古今和歌集)

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