のしてんてんハッピーアート

複雑な心模様も
静かに安らいで眺めてみれば
シンプルなエネルギーの流れだと分かる

里依子 4

2009-09-30 | 小説 忍路(おしょろ)
 「私のために悪いですから、札幌の街を見て帰ってください。」  一人取り残された里依子が小走りに私を追ってきて、哀願するように言った。私はそんなことはないと言い張った。  「一緒に帰らせてください。」  私はいくらかおどけた調子で言い、そんな身振りをして見せた。それを見て里依子は笑ったが、互いの心は張り詰めるばかりだった。  「私のために悪いから・・・」  里依子は何度もそう繰り返した。  「私 . . . 本文を読む
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