のしてんてんハッピーアート

複雑な心模様も
静かに安らいで眺めてみれば
シンプルなエネルギーの流れだと分かる

スケール号の冒険13

2008-06-05 | 童話 スケール号の冒険(第3話)
「消える前に助けられないのですか。」ぴょんたが食い下がった。
「だめだろう。実体は別の所にあるはずだ。それを探るんだ。」
心の中で艦長はスケール号に命令した。スケール号は音もなく入り口を開き、五人は素早くスケール号に乗り込んだ。間もなくスケール号は小さくなって一匹のスマートな猫に変身したのだ。スケール号は身を潜めてメリーゴーランドの様子をうかがっている。
やがて博士の予想どおりメリーゴーランドで遊ぶ子供達に変化が現れた。ピピが「今日は終わり」と言うと、メリーゴーランドが止まり、その上の子供達もそのまま動かなくなった。
ピピがヒラリと木馬から降りて、胸元から茶色のビンを取り出した。そのビンのふたを開けると、信じられない事が起こったのだ。
ビンのふたをとって口を子供達に向けると、子供達がスルスルとビンに吸い込まれて行くではないか。小さなビンに何人もの子供達があっと言う間に吸い込まれてしまったのである。ピピはそれを胸ポケットに入れて歩き始めた。メリーゴーランドのネオンがそれと同時に消えて闇の中に溶け込んでしまった。
「さあ、あの子を追うんだ。」博士が艦長に指示を出した。
「分かりました。」
スケール号はピピの後を追い始めた。子供とは思えない早さで移動し、遊園地の塀を通り抜けた。そして一軒の古い家の中に入って行った。
スケール号は屋根裏からその家に入り、ピピの姿を探すと、ベッドに寝ているおばあさんの部屋に立っているのが見えた。そしてピピはおばあさんの胸に頭から飛び込んでそのままおばあさんの中に消えたのだった。
おばあさんは何事もなかったように眠り込んでいる。
 「あっ、魔女だ。このおばあさん、魔女でヤす。」
「魔女だって。」艦長がもこりんに聞き返した。
「そうでヤす。まちがいないでヤす。」
「どういうことだスか。」
「この近所の子供達がみんな言っているのでヤすよ。」
「もう少し詳しく聞かせてもらえないかね。」博士が言った。


 マイホームページ入り口   プチッと押してブログの応援お願いします


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« スケール号の冒険12 | トップ | スケール号の冒険14 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

童話 スケール号の冒険(第3話)」カテゴリの最新記事